アンソロピックをAI研究者が退社したことが、8日までに明らかになった。同社と最大の競合相手であるOpenAIが、人類の存亡に関わるリスクをもたらすAI技術の開発競争に突き進み、無責任な行動を取っているとの懸念を理由に挙げた。他の社員にも自身の仕事を見直すよう呼び掛けた。

退社したのは、ジェイコブ・コクソン氏。過去3年間にアンソロピックとOpenAIの両社で勤務したという。同氏は8日夜にソーシャルメディアに投稿し、両社が人間には制御できないほど強力になる可能性のある「自己改善型」のAIモデルの開発を進めていると警告した。

コクソン氏はXへの投稿で「(両社は)自己改善型の超知能に向かって突き進み、人命を危険にさらす賭けに出ている」と批判。「この技術の力を過小評価してはならない。間もなく、あらゆるものをハッキングし、どんな分野でも一夜にして変革し、実際の権利や資源を手に入れられる超人的なシステムになる」と訴えた。

アンソロピックとOpenAIの担当者はコメント要請に直ちに応じなかった。

最近、AIの急速な進化が国家安全保障や世界経済への脅威になっているとして、業界内部から警告が相次いでいる。7月には、AIの進歩が速くなり過ぎることを防ぐため、開発ペースを「意図的に調整」する仕組み作りへの支援を米政府に求める請願書に、主要AI企業の社員1100人余りが署名した。

その後、一部の政策当局者も同様の懸念を示している。民主党と歩調を合わせる無所属のサンダース米上院議員は最近、人間の能力を上回る「超知能」AIモデルを禁止する法案を提出した。

アンソロピックは、責任あるAI開発を自社の理念の中核に据えてきた。それだけに、安全性への懸念を理由としたコクソン氏の退社は注目される。同社のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は、最先端のAIシステムについて公開前に政府の審査を義務付けるよう求めるなど、業界内で一線を画す姿勢を示してきた。

原題:Anthropic Worker Quits Over AI Firms ‘Gambling With Our Lives’(抜粋)

--取材協力:Maggie Eastland、Shona Ghosh.

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