狭いレンジでもみ合っている米スペースXの株式に、近く追い風が吹く可能性がある。焦点となるのが、月内に実施されるナスダック100指数の四半期リバランスだ。

ナスダックは指数の構成銘柄の比率を決める際、発行済み株式総数か流通株式数の3倍のいずれか少ない方を基に時価総額を算出する。つまり、内部者保有株やロックアップ(既存株主の売却制限)対象株を除外した流通株が少ない企業は、実際の時価総額がそのまま指数比率の算定に反映されるわけではない。

スペースXはロックアップの影響で流通株比率が比較的低く、ナスダック100での組み入れ比率は1.25%にとどまる。時価総額は2兆ドル(約308兆円)を超え、同指数で6番目の大きさにもかかわらず、組み入れ比率は19位だ。

ただ、次回の指数リバランスではスペースXの組み入れ比率が上昇すると見込まれている。リバランスは11日の引け後に発表され、21日に反映される予定だ。

背景には、すでに10億株を超える株式のロックアップが解除され、流通株比率がIPO直後の10%未満から約30%に上昇していることがある。

JPモルガン・セキュリティーズのミン・ムーン氏らの試算によると、リバランス後のスペースXの組み入れ比率は1.51%に達する可能性があり、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)などパッシブ運用資金による買い越し額が124億ドルに上るとみられている。

ナスダックによれば、6月末時点でナスダック100指数に連動する運用資産は約1兆7000億ドルに達する。代表的な商品には、ティッカー「QQQ」で知られるETF「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」などがある。

今後1年でさらに多くのスペースX株のロックアップが解除されれば、流通株比率は一段と高まり、ナスダック100での組み入れ比率がさらに上昇する可能性がある。

リバー・ウェルス・アドバイザーズのエド・オゴーマン最高経営責任者(CEO)は、「ある程度は指数連動の買いによって、株価が大きく動かされることになる」と指摘。「スペースX株に対する市場の本当の評価が見えてくるまでには、まだ時間がかかるだろう」と述べた。

過去最大となった6月の新規株式公開(IPO)後の数週間は値動きの激しい展開が続いたスペースX株だが、足元では落ち着いている。過去4週間は133-150ドルのレンジで横ばい推移し、IPO価格の135ドル近辺にとどまっている。目先に大きな材料が乏しい中、指数リバランスがレンジを上抜けるきっかけとなるかもしれない。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「ロックアップが解除された株の一部が、見込まれる買い需要に便乗する格好で売りに出される可能性もあるし、逆にインデックス運用勢からの大きな需要で株価が上昇する可能性もある」と指摘。「QQQなどからの需要は増えるはずだ」と述べた。

こうした算出方法を採用しているのはナスダックだけではない。S&P500種株価指数を運営するS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスも、一部の指数で組み入れ比率を決める際に浮動株調整後の時価総額を使っている。

バークシャー・ハサウェイが2年前にアップル株の保有を大幅に減らした際には、アップルの流通株ベースの時価総額が増加した。パイパー・サンドラーのアナリストは当時、これによってパッシブ勢から400億ドルの買いが生じると試算していた。

スペースXは6月にラッセル1000指数にも採用された。一方、S&P500への採用には少なくとも12カ月の取引実績が必要なため、対象となるのは早くても2027年半ば以降となる。

8月に迎えたスペースX初のロックアップ解除は、同社の初の決算発表と重なった。市場では、売却可能な株式が一気に増えることで需給が崩れ、大幅な売りにつながるとの懸念が強まっていた。

しかし、1週間後の2回目の解除後も大きな売りは起きなかった。内部者の多くが保有株を手放さなかったためで、投資家の安心感につながり、株価を支えた。

10月末までにはさらに10億株を超える株式のロックアップが解除される予定で、11月半ばに予定される7-9月期(第3四半期)決算の発表後には、さらに13億株が売買可能になる。

前述のオゴーマン氏は、「11月の決算発表をきっかけにロックアップが解除される時が試金石となる。大量の株式が市場に出てくるだろう」と述べた。

原題:SpaceX Shares to Get a Boost If Nasdaq 100 Increases Weighting(抜粋)

--取材協力:Matt Turner、Subrat Patnaik、David Watkins.

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