(ブルームバーグ):イランは、米国が領土やインフラへの攻撃を続ければ報復を強める構えで、より激しい戦争にも備えている。イラン政府の高官が明らかにした。
機密性の高い問題だとして匿名を条件に語った同高官によると、イラン政府は、米国による海上封鎖やイラン石油タンカーへの攻撃を受けても引き下がる考えはない。経済的な痛みは増している可能性があるものの、イラン指導部は米国との戦争を国家の存亡に関わる脅威と捉えており、戦い続ける以外にほとんど選択肢はないとみているという。
同高官の話では、イランは激しい戦闘が4月にいったん収まって以降、軍事能力の再構築を進めており、長期戦を続けるのに十分なミサイルを保有している。
米国とイランの戦争は7カ月目に入り、収束の兆しはほとんど見られない。米中央軍は8日、イランのタンカー5隻を攻撃し破壊したと発表。イスラム革命防衛隊(IRGC)が米軍艦艇1隻を攻撃したことへの報復だと説明した。その後、イランは米国が使用するヨルダンの空軍基地に約20発のミサイルを発射したほか、米海軍の複数の艦艇や商船数隻を攻撃した。
報復の応酬を受けてエネルギー価格は上昇している。北海ブレント原油は9日、1バレル=100ドルを上回り、年初来の上昇率が約65%に達した。米国では先週、ディーゼル小売価格が過去最高を記録。11月3日の中間選挙を前に、有権者に不人気な戦争を終結させるよう求めるトランプ大統領への圧力が一段と強まっている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、ディナ・エスファンディアリー氏は、イラン指導部の多くが「トランプ政権は脅しや攻撃の激化にしか反応しないと考えている」と指摘。「中間選挙を控える中、イラン指導部は、米政権が戦争の激化により敏感になっているともみている」と記した。
強まる強硬姿勢
イランの新たな最高安全保障当局者モフセン・レザイ氏は今週、「米軍艦艇や基地に対する作戦態勢は根本的に見直された」と述べ、より攻撃的な姿勢に転じたことを示唆した。
これまでの停戦協議でイランの首席交渉官を務めたガリバフ国会議長は6日、「相応の対応」の時代は終わったと警告した。
2月下旬に始まった戦争は、双方がホルムズ海峡の支配権を巡ってせめぎ合う中、膠着(こうちゃく)状態に陥っている。正式な和平協議は数カ月にわたって開かれておらず、両国が交渉のテーブルに戻る兆しもほとんど見られない。
米国は、燃料価格のさらなる上昇を警戒しているほか、すでに迎撃ミサイルを大量に消費しているため、3月から4月初めにかけてのような全面的な戦闘に戻ることを避けようとしている。代わりに、海上封鎖に加え、イランとの関係を断たない政府や企業への制裁をちらつかせることで、イラン経済に圧力をかけようとしている。
イランは引き続き、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の通航を管理する権利があると主張し、許可なく通過する船舶を繰り返し標的にしている。これにより米国は軍事対応を迫られており、攻撃の応酬が一段と激化するリスクを高めている。
BEのエスファンディアリー氏は「イランの政治指導層では、攻撃を激化させるべきか、抵抗にとどめるべきかを巡って議論が続いている」と指摘。「その一方で、イランはより迅速かつ効率的に報復する方法を固めつつあり、米国が攻撃を激化させた場合に備えて複数の選択肢を用意していることがうかがえる。米国により大きな代償を負わせようとしている」と述べた。
原題:Iran Ready for More Intense War and Won’t Relent, Official Says(抜粋)
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