(ブルームバーグ):6日にドイツ東部のザクセン・アンハルト州で行われた州議会選挙では、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が州議選として過去最高の得票率を収めて勝利した。この結果は、ロシア寄りへと傾いているのが単に極右勢力にとどまらないことを示す一つの節目となった。
ロシアのプーチン大統領がウクライナを屈服させようと破壊を続け、欧州連合(EU)に対する攻撃を強める中でも、AfDは公然とプーチン氏への共感を示してきた。
ドイツ政府は投票の数日前、8月にライプチヒ空港で発生したドローンによる攻撃未遂事件はロシアの仕業だと非難したが、有権者がAfDを敬遠することはなかった。
AfDとロシアの関係を問われたドイツのメルツ首相は、選挙結果にロシアは喜んでいるだろうと語った。
自らが率いるキリスト教民主同盟(CDU)の党幹部との会合後、メルツ氏はベルリンで記者団に対し、「ロシア指導部の狙いは、われわれが『西側』と呼んできた価値体系の不安定化だ」と指摘。「この価値体系について議論の余地はない」と強調した。
だが、こうした現象はドイツだけではない。EU内で同国に次ぎ、経済規模が2番目と3番目に大きいフランスとイタリアでも、ウクライナ問題でロシアの主張をそのままなぞるような政策を唱えるポピュリストが勢いを増している。
フランスの極右野党・国民連合(RN)のバルデラ党首(30)は、これまで無条件で行ってきた対ウクライナ支援を、より取引的なものにすべきだと主張している。
フランスの厳しい財政を踏まえれば、ウクライナ向けの軍事支援には見返りが必要だとバルデラ氏は述べた。同氏は来年の仏大統領選挙で、マリーヌ・ルペン前RN党首が当選すれば、首相となる公算が大きい。ルペン氏は第1回投票の投票意向を問う世論調査で一貫して首位に立っており、マクロン大統領が提供してきたウクライナ支援が危うくなる恐れがあると、他のウクライナ支援国の間で懸念されている。
バルデラ氏は5日、イタリアのチェルノッビオで開催されたイベントでブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに応じ、「フランスは多額の債務と財政赤字で溺れ死にかけている。それなのに何の保証もなく、ある国に対して支払いや金融支援を約束するのは無責任だ」と語った。
イタリアでは、元陸軍幹部で超国家主義者のロベルト・バンナッチ氏が、移民の取り締まり強化と、ウクライナを巡るロシアとの和平を訴え、世論調査で支持を急速に伸ばしている。ユートレンドが4日公表した調査では、同氏の「国民の未来」党は、メローニ首相率いる「イタリアの同胞」に次いで、右派政党の中で2番目に高い支持を得ている。
バンナッチ氏は5日、チェルノッビオで開かれたイベントの合間にブルームバーグとのインタビューで、「真実が完全に一方の側だけにあるということはあり得ない」と主張。「むしろ、こうした状況に至るにはさまざまな要因がある。それらを極めて実利的かつ客観的に検証する必要がある」と語った。
AfDは外国人の大規模な国外追放を支持していることもあり、フランスやイタリアの極右との折り合いは悪い。ルペン氏は2024年、AfDの議員がインタビューで、ナチ親衛隊(SS)の隊員全員を犯罪者とみなすべきではないと発言したことを受け、同党との協力関係を打ち切った。
極右政党「イタリアの同胞」を率いるメローニ氏も、AfDがロシアと極めて近い関係であることから、距離を置いている。
それでも、EUの主要3カ国で親ロシア政治家が権力の中枢に近づいていると言える。一方、ロシアは侵攻の手を緩める兆しを全く示していない。
EUの輪番議長国を務めるアイルランドのマーティン首相は先週、ダブリンで開かれたブルームバーグのイベントで、「ロシアは攻撃的だ。しかもライプチヒで目にしたように、ある意味で非常に無謀だ」と発言。ロシアはEU域内で「無謀さを増している」と述べ、「これはわれわれが無視できない現実だ」と続けた。
ロシアのラブロフ外相は、ライプチヒ空港でのドローン事件を受けて在ドイツの一部ロシア外交施設を閉鎖するよう命じたドイツ政府の決定を批判し、ドイツがロシアとの直接対決に向かっていると非難した。
ロシア国営テレビ局ベスチがテレグラムで公表した発言によると、ラブロフ氏は「全体として、これは大まかに言えば、本当の戦争の始まりのようなものだ」と述べた。
原題:Putin’s Shadow Across Europe Grows After German Far Right Wins(抜粋)
--取材協力:Donato Paolo Mancini、Samy Adghirni、Francine Lacqua.
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