ベネズエラのロドリゲス暫定大統領が自国の石油資源への独占的なアクセスを米国に認めることで合意し、国内の強硬派と反対勢力から激しい反発を受けている。ロドリゲス氏は、トランプ米大統領との合意が自身の権力基盤を一段と固める切り札になると踏んでいる可能性がある。

トランプ氏は28日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿でベネズエラとの取り決めを発表した。これは、同氏が中国による長年の影響力拡大に対抗し、西半球で米国の優位を確立しようとする最新の動きとなる。

ロドリゲス氏にとって考えられる利点の一つは、ベネズエラ産原油650億バレルの過半を米国の管理下に置く合意によって、トランプ政権が早期の選挙実施を迫る動機が弱まることだ。

ユーラシア・グループの中南米担当ディレクター、リサ・グライスターゴウ氏は「トランプ氏がロドリゲス氏との協力を続ける姿勢を強め、その結果、新たな選挙を早急に実施する動機が弱まるのであれば、ロドリゲス氏にとって有利に働く可能性がある」と指摘し、「まさにそれが反対派がこれほど憤っている理由だ」と述べた。

ロドリゲス氏は29日にテレビ中継されたスピーチで、石油合意を擁護し、ベネズエラに繁栄と雇用をもたらすと説明した。この合意により、生産される石油1バレルにつき約19ドル(約3040円)の利益がベネズエラにもたらされる見通しだという。

一方、数十年にわたる反米ナショナリズムを背景に、この合意が裏目に出て政治的な重しとなるリスクもある。ソーシャルメディア上では、ワシントンで28日夜に発表があった直後から批判が噴出した。

ロドリゲス氏が自国の石油を手放したと非難する声がある一方、トランプ氏もロドリゲス氏も、なぜ経済合意と共に選挙や民主化移行への確約を示さなかったのかと疑問視する声も上がった。

グライスターゴウ氏は「資源ナショナリズムを巡る敏感な問題があるほか、貴重な資源を手放して『チャビスモ』の原則を裏切っているとの見方もあり、ロドリゲス氏にとって政治的に難しい状況だ」と分析した。

チャビスモとは、2013年に死去したチャベス大統領が創設し、ベネズエラの石油に対する国家統制を柱の一つとして築かれた政治運動だ。

事情に詳しい複数の関係者によれば、米国との今回の合意はベネズエラの反体制派が関与しないまま交渉された。最も著名な野党指導者でノーベル平和賞を2025年に受賞したマリア・コリナ・マチャド氏も協議には関わっていなかったという。

ベネズエラの2024年大統領選の選挙運動中、当時のマドゥロ大統領と同盟関係にあったロドリゲス氏は、マチャド氏が米国の「主人たち」の指示を受け、ベネズエラの石油を引き渡すために大統領の座を狙っていると非難していた。

今ではロドリゲス氏自身が同様の攻撃にさらされている。共有されたテキストメッセージでのやり取りによると、チャビスモの強硬派は28日の発表に怒りを示し、合意の合法性が疑問だとし、ソーシャルメディアへの投稿で主権の放棄だと批判した。米国の脅しを受け、ベネズエラは事実上、石油を手放すことを強いられたとの声もあった。

ロドリゲス氏にとっては微妙な時期だ。今年6月に6500人以上が死亡した2度の大地震への政府対応が遅かったと受け止められた後、世論調査で支持率が低下している。

このため、急速に緊密化する対米関係と、資源ナショナリズムや米国の影響力への抵抗を数十年にわたって掲げてきた政治運動との間で均衡を取ろうとするロドリゲス氏の取り組みは、一段と難しくなり得る。

ベネズエラ・スリア州カビマスのマラカイボ湖にあるベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の石油掘削施設

マチャド氏の政党内ではすでに、ロドリゲス氏が署名した合意が将来の政権移行後も存続するのか疑念が生じている。

マチャド氏率いる政党「ベンテ・ベネズエラ」のホセ・アマリオ・グラテロル氏は「ロドリゲス氏が署名したものは、何であれ一切効力がない」と主張し、「トランプ氏と署名したのかもしれないが、彼女には本来の正統性がないため、決して有効にはならない」と語った。

米ライス大学ベーカー公共政策研究所の中南米エネルギー政策担当ディレクター、フランシスコ・モナルディ氏は、ロドリゲス氏が明らかにした経済条件に疑問を呈し、ベネズエラの石油政策を巡る透明性の欠如は「非常に憂慮すべきだ」と語った。

モナルディ氏によると、ロドリゲス氏がプロジェクトから得られるとした税収2090億ドルは、合意の対象となる650億バレルの石油1バレルに換算すると約3.20ドルに相当する。この数字がプロジェクトの全期間にわたって徴収される名目収入を示しているのであれば、現在価値はさらに小さくなるという。

原題:Trump’s Oil Deal Riles Both Sides of Venezuelan Politics (1)(抜粋)

--取材協力:Fabiola Zerpa、Scott Squires.

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