(ブルームバーグ):米雇用者数の伸びは8月に軌道に戻ったとみられる。労働市場が全般に安定しているとの見方に沿うもので、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレとの闘いに一段と力を注げる状況となっている。
米労働統計局(BLS)が9月4日に発表する月次雇用統計で、非農業部門雇用者数が5万5000人増加するとエコノミストらは予想している。想定通りなら、今年の平均的な雇用増加ペースとおおむね一致する。7月の雇用者数は、予想外に減少していた。
家計を対象とした調査に基づく8月の失業率は4.1%と、横ばいになるとみられている。

ウォーシュFRB議長は8月28日、安定した労働需要と限定的な人員削減は「完全雇用と整合が取れている」とワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティー連銀が主催する年次経済シンポジウムで述べた。安定した労働市場は個人消費を支え、経済全体が前進を続けることを可能にしている。
雇用が伸びる中で、FRB当局者は中央銀行の2つの使命のもう一方である物価安定に焦点を絞っている。インフレ率は何年にもわたり、FRBの2%目標を大きく上回る水準で推移している。
雇用統計は、米経済指標の発表が相次ぐ1週間を締めくくる。9月1日にはBLSが7月の求人・労働異動調査(JOLTS)を発表する。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の見方
ウォーシュ議長のタカ派的なジャクソンホール講演で9月の利上げ確率が高まり、今週発表されるデータの読み方も変わった。8月の雇用統計が引き続き最大の注目材料だが、われわれが予想する低調な結果は通常ほど大きな意味を持たない可能性がある。ウォーシュ議長は労働市場が健全な状態にあるとの見方を示し、雇用増加の鈍化は景気低迷ではなく、人口動態による場合が多いと指摘した。
—アナ・ウォン、アンドリュー・サッチャー、イライザ・ウィンガー
ウォーシュ議長の発言を受け、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げする確率は50%を上回った。投資家は今週発表される2つの業界景況調査から、インフレの手がかりを探ることになる。
米供給管理協会(ISM)は9月1日に8月の製造業景況調査を、3日に非製造業景況調査を発表する。いずれにも原材料の仕入れ価格を示す指数が含まれる。
2日にはカナダ銀行(中銀)が政策金利を決定し、据え置きが予想されている。カナダと米国の通商協議決裂と、双方が予定している新たな関税が影を落としており、協議が近く再開する兆しはない。
このほか、ユーロ圏のインフレ加速やニュージーランドでの利上げの可能性、米ノースカロライナ州アッシュビルで8月31日から2日間開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議などが注目だ。
アジアと欧州
アジアでは、ニュージーランドとマレーシアの中銀による政策決定が焦点となる。政策当局は、中東危機や関税を巡る緊張の再燃、AIブームの影響が強まる中でばらつきが目立つ域内の成長動向を見極める。
ニュージーランド準備銀行(中銀)は9月2日、追加の金融引き締めに踏み切る可能性がある。燃料価格ショックの影響が引き続き経済に波及しているためだ。一方で、雇用や小売売上高、住宅ローン貸し出しが軟化するなど需要は低迷しており、政策当局が慎重になる可能性もある。
マレーシア中銀は3日に政策決定を行い、据え置く公算が大きい。マレーシア経済は域内でも好調で、エネルギー補助金がインフレを抑制する一方、活況を呈するAI産業が力強い経済成長を促している。
アジアの他の国々はより脆弱(ぜいじゃく)だ。米国とイランの和平合意を巡る不透明感により、エネルギーコストが高止まりするリスクが残っている。
ユーロ圏のインフレ率は8月に2023年以来の高水準へ急加速した可能性があり、政策当局への利上げ圧力が続きそうだ。9月1日発表の統計について、31人の予想中央値では消費者物価が前年同月比3.3%上昇と見込まれている。

原題:US Jobs Report Seen Backing Warsh View of Labor Market: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Claire Jiao、Brian Platt、Monique Vanek、Travis Waldron、Mark Evans、Beril Akman.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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