米ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)が29日、閉幕する。今年は米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長が、就任後初めて登壇した。

以下、今年のジャクソンホール会合のポイントをまとめた。

ウォーシュ氏が台頭

ウォーシュ議長は基調講演で、インフレ抑制がFRBの最優先課題だとのメッセージを強く打ち出した。

講演では、金利の方向性について金融市場にガイダンスを示さないとの従来の立場を改めて強調する場面もある一方、米経済をどう見ているかについて初めて一定の手掛かりを示した。これにより、投資家の不満は幾分和らいだほか、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合への注目度が一段と高まった。

講演を受けて、市場では早期利上げ観測が一気に強まった。当面の焦点は、9月11日に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)に移った。その数日後の15-16両日にFOMC会合が開催される。

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ウォーシュ氏は利上げ支持を明確には表明しなかったものの、インフレ率に有意な鈍化は見られず、政策当局者は鈍化を確信できなければならないと警告。

「基調的なインフレが明確に、かつ十分な速さで目標に向かっていると確信できなければならない。そうでなければ、われわれにはやるべき仕事がある。それがわれわれの役割だ」と述べた。

金融環境は景気抑制的ではないとも指摘し、FRBが責務を達成する上で、金利が「主要な手段」だと説明した。

さらに、FRBがインフレ目標を変更するのではないかとの懸念も打ち消した。個人消費支出(PCE)価格指数で測る2%について、「確固たる目標で不変」だと述べた。

ユーロ圏もインフレ懸念

会議の合間に発言したユーロ圏の政策当局者からも、インフレへの警戒感が示された。

コッハー・オーストリア中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのドレンツ・スロベニア中銀総裁はブルームバーグに対し、域内経済の底堅さや中東で続く紛争は、9月利上げの必要性を示していると述べた。市場では利上げが広く予想されている。

「新たなデータを見ると、インフレ問題が自然に解消していく状況ではない」と、ドレンツ氏は語った。

ECB政策委員会メンバーのコッハー・オーストリア中銀総裁も、経済には「一段の勢い」があると指摘した。8月に3.3%に達したと予想されているインフレ率について、「全く油断しておらず、警戒している」と述べた。

ベイリー氏、利上げ急がず

イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、利上げを急ぐ必要はないとの考えを示し、やや異なるメッセージを発した。

ベイリー氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「二次的なインフレ波及はかなり抑制されている。労働市場は以前から軟化していると思う」とした上で、「現時点では状況を見守ることができると考えている」と語った。

金融政策に関してベイリー氏が公の場で発言するのは、6対3で政策金利の据え置きを決めた7月30日の会合以来。

欠席者も

今年の会合では、注目される複数の中銀関係者が欠席した。ECBのラガルド総裁と日銀の植田和男総裁は参加しなかった。両氏は8月31日-9月1日に米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議には出席する予定だ。

パウエル前議長はFRB高官で唯一欠席した。パウエル氏は5月、議長任期を終えた後も理事職にとどまる異例の決断をした。だが、かねて表明していた通り、その後は表舞台から離れている。

技術革新がもたらす課題

議長講演や会議の合間に交わされる経済・政治を巡る発言が注目されがちだが、ジャクソンホールは経済研究を巡る高度な議論の場としても重要だ。今年発表された論文は、金融イノベーションと、それが決済や金融政策に及ぼす影響をテーマとしていた。

論文は、各国中銀が技術革新によって生じた課題への対応に苦慮している現状を浮き彫りにした。討論では、トークン化によって金融資産の保有・移転の在り方が大きく変わる中、規制上の課題についてエコノミストや政策当局者が意見を交わした。

クック理事

ジャクソンホール会合開幕の前日には、トランプ米大統領によるFRBへの攻撃が、ウォーシュ議長の就任後も続いていることを参加者に改めて印象付ける出来事があった。

ホワイトハウスは最近、住宅ローン詐欺疑惑を理由に、クックFRB理事を解任しようとする動きを再び強めている。クック氏の弁護士は26日、疑惑は「根拠がなく、事実ではない」と書簡で反論した。ホワイトハウスは書簡について現時点でコメントしていない。

米連邦最高裁は6月、トランプ氏の解任措置を争う訴訟が続く間は、クック氏が理事職にとどまることを認める判断を下した。

原題:Key Takeaways From the Fed’s Annual Jackson Hole Conference(抜粋)

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