・東南アジアの経済大国インドネシアで横行する不健全な「揚げ物株」問題
・新政権の巨額な社会福祉政策と、限界に迫りつつある財政赤字への強い懸念
・浮動株の低さが招く市場格下げリスクと、海外投資家からの信頼回復の行方
「揚げ物株」と財政悪化が招く危機 東南アジア最大の経済大国インドネシアの行方
揚げ物は美味しいですが、体に悪いことは誰もが知っています。不思議なことに、東南アジア最大の経済大国であるインドネシアの一部株式にも、全く同じことが言えます。事実、同国の株式市場では激しく相場操縦されている銘柄が「揚げ物株」と呼ばれ、見た目の魅力的な高騰とは裏腹に、決して健全とは言えない中身を抱えているのです。

かつて、インドネシアのGDPは1兆5000億ドルに達し、シンガポールとタイの合計を上回っていました。世界で最も急成長している魅力的な投資先としてもてはやされ、投資家の注目の的だったのです。しかし現在、不健全な市場構造や政府の政策の誤りに対する懸念が高まり、投資家たちはこの巨大市場に対して強い警戒感を抱き始めています。

豊富な資源と若年層、そして新政権の「国家主導資本主義」
インドネシアは2億8000万人以上の人口を抱える世界第4位の人口大国であり、広大な群島はアメリカ大陸の横幅に匹敵する広さを持ちます。若年層の割合が高く、グローバルブランドが進出する魅力的な消費市場であると同時に、バービー人形やミニカーの主要生産国でもあります。さらに、パーム油、ニッケル、一般炭の世界最大の輸出国であり、この豊富な天然資源こそが経済成長の大きな原動力でした。
1990年代後半のアジア通貨危機や独裁政権の崩壊という大混乱を経て、同国は「財政赤字をGDP比3%以内に抑える」という厳格なルールを導入しました。これが国際的な信頼を生み、2014年以降は市場重視の政策も相まって海外投資が急増。長年、年約5%の安定した成長を維持してきました。

しかし、数字上の繁栄の裏では深刻な貧富の格差が広がり、市民の怒りは抗議デモへと発展しました。こうした社会不安の中、新たに就任したプラボウォ・スビアント大統領は、「国家主導の資本主義」を強く推し進めています。その象徴が、数百もの非効率な国営企業を統合・管理する政府系ファンド「ダナンタラ」の創設や、主要資源の輸出を統制する政府指定企業の設立です。
