(ブルームバーグ):世界最大級の投資銀行を顧客に持つAIスタートアップ、ロゴ・テクノロジーズが、アジアの複数の主要拠点で人材採用を進めている。AIを業務に一段と深く組み込む体制が整っている金融機関が、同地域でさらに増えているとみている。
共同創業者のジョン・ウィレット氏(28)によると、同社はシンガポールをアジア太平洋地域における事業拡大の中核拠点と位置づけ、同国にオフィスを開設。ロゴのAI製品は、表計算やスライド作成の自動化など若手バンカーが担ってきた単調な作業の多くを代替することで利用が広がっている。
銀行業務の他分野にも拡大する中、シンガポールのほか、東京とシドニーでも採用を進めており、来年末までに域内の総従業員数を合計150-200人に拡大する計画だ。
こうした動きの背景には、アジア太平洋地域が職場でのAI導入で、世界をリードしていることがある。とりわけシンガポールでその傾向が顕著だ。国際通貨基金(IMF)のAI準備指数では174カ国・地域中、1位に立ち、金融ソフトウエア会社フィナストラの2026年調査によると、同国の金融機関の64%が主要業務でAIを積極的に導入している。
最高執行責任者(COO)でもあるウィレット氏は、シンガポールの人材の豊富さは「非常に魅力的だ」と述べ、地域各地との接続性の高さや、アジア進出を図る欧米企業の足掛かりとして長年機能してきた実績も挙げた。
ロゴは4月、ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンスが主導した資金調達ラウンドで20億ドル(約3190億円)と評価された。同社ウェブサイトによると、世界で350社を超える顧客を抱え、5万人余りのバンカーや投資家がプラットフォームを利用している。
ウィレット氏によると、100を上回る国・地域にユーザーを持つ同社は、アジアではインドやシンガポール、香港、日本を中心に事業を展開している。同地域では、顧客により良いサービスを提供するため、現地スタッフを配置する必要があると同社は考えているという。
ロゴのプラットフォームは、野村ホールディングスの投資銀行部門や大和証券グループ本社などが利用していると同社と各社が明らかにした。事情に詳しい関係者によると、シンガポール政府投資公社(GIC)も顧客で、他の関係者は、バークレイズもアジアの各拠点に導入しているとした。GICとバークレイズの広報担当者はコメントを控え、ロゴも同様に応じなかった。
ウィレット氏によれば、大手銀行は現在、ガバナンスやコンプライアンス、トークンの最適化を横断してAIエージェントを管理し、社内でAI技術がどのように利用されているかを可視化するための統合管理レイヤーを導入している。ロゴのアジア担当チームは、地域の金融機関の構成を反映し、企業の合併・買収(M&A)やセクター担当にとどまらず、法人・商業銀行業務、資産運用、ウェルスマネジメントまで幅広くカバーするという。
原題:AI Startup That Upends Junior Bankers’ Work Sets Up in Singapore(抜粋)
--取材協力:Denise Wee、Kevin Dharmawan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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