新車・中古車販売と自動車ローンを手掛ける米アメリカズ・カーマートは、一つの分野に力を注ぎ、1990年代の不況や2008年の金融危機、新型コロナ禍の混乱を乗り切ってきた。資金に余裕のないサブプライム(信用力の低い個人)顧客に年式が古く走行距離の長い中古車を販売し、購入資金を融資するビジネスだ。

しかし、そのモデルが失速しつつある。アメリカズ・カーマートは資金と信用の逼迫(ひっぱく)に直面し、顧客への新規融資や販売用乗用車の購入を今や思うように進められない。在庫が52%、販売台数が27%減少したと先週発表し、打撃の大きさが露呈した。

ダグラス・キャンベル最高経営責任者(CEO)は、事業立て直しに向け、新たな資金調達に動いていると繰り返した。事情に詳しい関係者によると、経営陣は破産裁判所の管理下に入るかどうかにかかわらず、事業全体の段階的清算につながる資産売却の可能性も検討しているという。

カーマートにとって、7億ドル(約1142億円)の債務破綻につながりかねない道を開いたのは、ウォール街の極めて過酷な資金調達の仕組みに頼る決断だった。同社はサブプライム自動車ローンを束ねて証券化し、機関投資家に販売する資産担保証券(ABS)を通じて、22年から3年間で約25億ドルを借り入れた。

金利引き上げに伴い超低金利での借り入れが終わりを迎えた今、ツケが回ってきた。コロナ禍の時期に積み上がった企業債務の返済期限が近づく中で、さらに厳しい痛みが待ち受ける可能性が高いと市場ウオッチャーは警告する。

インフレ率と金利が急上昇し始め、労働者クラスの購入者の可処分所得を圧迫すると、多くの消費者ローンはすぐに重荷となった。23年までにカーマートの貸倒損失は増加し、融資基準の厳格化を余儀なくされたが、これが売り上げを激減させた。

逆風は厳しく、カーマートがABS取引に依存していたことが、危機的状況をさらに悪化させた。消費者ローンから回収された資金の多くは、債券保有者への支払い保証のため信託勘定に隔離することが契約で義務付けられている。

車が売れないと新たなローンを組めず、ABSの新発債も発行できなくなり、新規の事業資金が得られない負の連鎖に陥る。

1900ウェルス・マネジメントで最高投資責任者(CIO)を務めるボビー・ジョーンズ氏は「証券化は事前にプログラム設定されたトレッドミル(ランニングマシン)のようだ。予想より融資件数が少なければ、強制的なレバレッジ(借り入れ)解消のサイクルに入る。ABSという機械は、あなたが途中で疲れても意に介さない。自分に課された条件でやり遂げるか、機械にとどめを刺されるかどちらかだ」と指摘した。

アメリカズ・カーマートの中古車販売店 (米ジョージア州ウッドストック、7月20日)

カーマートの担当者はコメントを控えた。

アメリカズ・カーマートの販売店 (米ジョージア州ウッドストック)

原題:Subprime Auto Dealer Goes From Covid-Era Star to Near Demise (1)(抜粋)

--取材協力:Paige Smith.

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