イエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアに対する海上封鎖を実施すると表明したことを受け、日本が調達する原油の3割程度に影響が出る恐れが高まっている。輸送ルートの変更や代替調達などの対応が急務となる。

フーシ派は20日、サウジ船舶を対象とする航行禁止措置を即時発行すると宣言した。これを受け、サウジ主導の有志連合は紅海を航行する船舶を保護する措置を開始した。

イラン戦争の影響でホルムズ海峡が封鎖されたことを受け、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアは東部の油田地帯からアラビア半島を横断するパイプラインを使い紅海側のヤンブー港からの出荷を拡大してきた。日本も5月に輸入した原油の3割弱がサウジからで、紅海の南の入り口に当たるバベルマンデブ海峡が封鎖されれば大きな影響を受ける。

エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表は、完全な海上封鎖が実施されれば世界の原油市場の「需給バランスを崩壊させるのに十分値する量になる」と警鐘を鳴らす。バベルマンデブ海峡を迂回したとしても「大規模な輸送は難しいことを考えると価格高騰を招きかねない事態だ」と続けた。

バベルマンデブ海峡が封鎖された場合、日本やアジア各国に原油を運ぶためにはスエズ運河と地中海を経由し、アフリカ南端の喜望峰を回る大幅な迂回ルートを取る必要がある。喜望峰ルートはバベルマンデブ海峡経由に比べ航海日数が30日間増加するとされており、燃料費の増加や原油タンカー需給の逼迫により輸送コストの上昇につながる恐れがある。

また、スエズ運河は満載状態の超大型原油タンカー(VLCC)は喫水の制限で通航できないため、輸送効率は低下する。また、紅海と地中海を結ぶパイプラインの活用も考えられるが、輸送能力の不足という課題がある。同パイプラインの輸送能力は日量250万バレルにとどまるため、6月に過去最大となる同419万バレルを輸出したヤンブー港から出荷された原油に対応するには不十分だ。

サウジアラビアからの原油調達に支障が生じれば日本としては他の国からの調達を拡大して穴埋めする必要がある。赤沢亮正経済産業相は21日の閣議後会見で、重大な関心を持って情勢を注視するとともに、引き続きエネルギーの安定供給に万全を期すとの考えを示した。

ただ、イラン戦争開戦後に日本にとって最大の代替調達先となった米国の石油在庫は1984年以来最低の水準まで低下しており、高水準の輸出がどこまで持続可能なのかは不透明だ。

松尾氏は日本の対応として、「米国の輸出能力の限界を考えると、さらなる代替調達先を探すことを考える必要がある」と指摘する。また、日本は代替調達の進展に伴い第3弾の国家備蓄放出を見送ってきたが、松尾氏は「短期的にはさらなる備蓄放出も当然考えていくことになる」と述べた。

--取材協力:伊藤小巻.

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