米国のマネーマーケット・ファンド(MMF)は、保有資産を超短期に移し、わずかでも金利リスクを伴う資産を減らしている。米連邦準備制度の政策運営や目先の金利見通しを巡り、不透明感が強まっているためだ。

クレーン・データによると、MMF保有資産の加重平均残存期間(WAM)は40日と、5月半ばの45日から短縮した。運用会社は翌日物レポや短期証券への資金配分を増やし、変動利付の政府機関債や米国債も積み増している。一方、財務省短期証券(Tビル)は、政府が発行を増やしているにもかかわらず、保有比率が小幅に低下した。

原油価格の急騰に加え、ウォーシュ議長率いる連邦準備制度がタカ派色を強めたため、トレーダーは早ければ今月の利上げを織り込んでいた。しかし、先週発表された二つのインフレ指標が物価の落ち着きを示す内容となり、政策見通しは一段と不透明になった。これを受け、市場は利上げ観測を見直した。

こうした不安定な環境を背景に、運用資産が8兆ドル(約1300兆円)を超えるMMFは、数週間以内に満期を迎えるか、借り換えられるまたは金利が改定される証券を選好している。金利が再び上昇した場合、より高い利回りで再投資できる柔軟性を確保する狙いだ。

フェデレーテッド・ハーミーズのグローバル流動性市場担当最高投資責任者(CIO)、デボラ・カニンガム氏は「今後のより有利な投資機会に備えて余力を残すため、WAMをやや短くしたい」と述べた。

運用会社は、2022年初めのような事態を繰り返すまいとしている。当時、一部のファンドは残存期間が比較的長い資産を保有したまま、数十年で最も急速な部類に入る連邦準備制度の利上げ局面を迎えた。この経験から、政策の行方が不透明な状況では金利リスクを取ることに一段と慎重になっている。

DWSグループのマネージングディレクター、ジェフ・ギブス氏は先月のクレーン・マネー・ファンド・シンポジウムで、同社は今年の大半を通じてポートフォリオの約半分をレポ取引で運用しており、この方針を変更する予定はないと説明した。特に現在は利上げが見通しに織り込まれ始めていると指摘した。

クレーン・データによると、MMFによるレポ取引への資産配分は6月に約360億ドル増え、約1兆8900億ドルとなった。

MMFは変動利付債への配分も増やした。変動利付米国債の保有額は6月に過去最高の5230億ドルに達した。

ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アンジェロ・マノラトス、フランシス・ブラウン両氏によると、3カ月物Tビルの高い利回りに連動する変動利付国債を保有しながら、デュレーションの長期化を避けようとしている表れだ。

連邦住宅貸付銀行(FHLB)の債券発行残高は今年に入り約1800億ドル増えた。FHLB財務局のデータによれば、このうち変動利付債の発行は約1400億ドルだった。

同じ期間にMMFの政府機関債保有額は全体で約1950億ドル増えた。一方、政府がTビルの発行を増やし続ける中でも、MMFのTビル保有額は先月、約1050億ドル減少した。

フェデレーテッドのカニンガム氏は、連邦準備制度がインフレ抑制を優先する中、WAMはさらに短期化すると予想している。

ウェルズ・ファーゴのマノラトス氏は「9月の利上げもなお選択肢に残っており、連邦準備制度当局者から追加利上げを示唆するタカ派発言も相次いでいる。MMFは今後、WAMを徐々に短縮したいと考えるだろう」と指摘。「運用会社は、可能なら余剰資金をレポ取引や変動利付債以外には振り向けたくないだろう」と述べた。

原題:Money Funds Keep Cash Closer as Fed Leaves Markets Guessing(抜粋)

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