(ブルームバーグ):米大手銀行が空前の好業績を上げている。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど6大銀行の上期純利益は、初めて計1000億ドル(約16兆2000億円)を突破した。トランプ政権下で市場の変動が大きくなる中、株式・債券のトレーディング部門が好業績を支えた。
金融危機後に勢いを失っていた大手銀行は、苦戦するプライベートエクイティ(PE)業界を尻目に復権しつつある。
ゴールドマンの株価は、4-6月期(第2四半期)の株式トレーディング収入が従来の最高記録を20億ドル超上回ったことを受けて過去最高値を更新した。JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴはいずれも四半期ベースで過去最高益を記録した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)も上期として過去最高益を計上した。
米大手6行の純利益が年間で初めて1000億ドルを突破したのは、第1次トランプ政権時代だった。今回は上期だけでその水準に達した。

今回の好業績はバンカーにとって格別の意味を持つ。人材を引き抜き、銀行の事業領域にも進出してきたPE業界が苦戦する一方、大手銀行は好調を維持しているからだ。
投資銀行BDAパートナーズの共同創業者ユアン・レリー氏は「しばらくの間、バンカーはあらゆるジョークのネタにされていた」と振り返る。「不思議なことに、今では再び社会的に受け入れられるようになった。銀行員という仕事が再び格好いいものになっている」と語った。
2008年の金融危機後、低調な市場環境や厳しい規制を背景に、ウォール街のバンカーは脇役に追いやられた。名声も資金も急速にプライベート市場へ移り、高額報酬を求めるM&Aバンカーも相次いでPE業界へ転じた。
しかし、2022年の利上げで資金調達コストが上昇し、PEファンドは企業の買収や売却が難しくなった。一方、この1年はトランプ大統領による関税措置やイラン空爆を受けて市場の変動が拡大し、銀行のトレーディング部門には追い風となった。

勢い復活
ホワイトカラーの雇用を脅かすAIブームや根強いインフレ、中東で続く戦争は市場を大きく揺さぶり、経済の姿も変えつつある。一方で、こうした環境は銀行に新たな収益機会をもたらしている。
ゴールドマン・サックスのパートナー、マヘシュ・サイレディ氏はブルームバーグTVで、「AIブームを追い風に、より多くの企業が株式市場や債券市場で資金調達するようになる」との見方を示した。
PE投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの元パートナーで、モルガン・スタンレー出身のサチン・カジュリア氏は、現在の状況は数年前とは対照的だと指摘する。当時、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、銀行規制の強化を受け、PEファンドやヘッジファンドなどが人材や資金を取り込み、「街で踊っている」と表現していた。
「ウォール街の銀行は再び勢いを取り戻した」とカジュリア氏は指摘。「地政学リスクからAIまで、複合的な危機の中で新たな商機を見いだしている」と語った。

今夏の記録的な株式売り出しラッシュほど、ウォール街の熱狂を象徴する出来事はない。火付け役となったのは、スペースXによる過去最大となる860億ドル規模の新規株式公開(IPO)だ。投資家は同社の赤字には目もくれず、イーロン・マスク氏が描くAIや宇宙開発、ソーシャルメディアを融合した巨大企業構想に期待を寄せた。
もっとも、こうした熱狂が続く保証はない。先月、OpenAIが大型IPOを延期する可能性があると報じられると、一部の銀行株は下落した。
ゴールドマン・サックス元パートナーで、現在は投資会社アクソン・キャピタルを率いるディナカー・シン氏は、銀行各社の決算発表後、「手放しで喜べる状況ではない。資本市場業務を手掛ける銀行は、今やAI関連銘柄のような存在になっている」と語った。
ただ、銀行はトレーディング以外の分野でも利益を伸ばし、規制面でも追い風を受けている。
JPモルガンでは、好業績を支えたのはトレーディング部門だけではなかった。商業・投資銀行部門、個人向け金融部門、資産・ウェルスマネジメント部門はいずれも過去最高の収入を記録した。ダイモンCEOは就任から20年を迎えた後も当面は続投する考えで、安全保障から「アメリカンドリーム」まで幅広いテーマについて積極的に発信している。
原題:Goldman Leads Banks Finding Their Swagger in a $100 Billion Half(抜粋)
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