(ブルームバーグ):財務省が14日に実施した20年利付国債入札が強い結果となり、超長期金利が急低下(価格は上昇)した。利回り水準の高さに加えて、片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相による年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産配分見直しに前向きな発言を受け、年金資金の債券買い期待が相場を押し上げた。
入札結果によると、投資家需要の強弱を示す応札倍率は4.52倍と過去12カ月平均(3.54倍)を上回り、最低落札価格は100円85銭と市場予想100円50銭を大きく上回った。小さいと入札の好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は、2010年の過去最低水準と並ぶ0銭。前回は24銭だった。落札先が分からない「不明玉」が多く、年金基金など最終投資家が落札した可能性が指摘されている。
結果を受けて長期国債先物9月物は一時前日比67銭高の127円76銭まで上げ幅を広げた。新発20年債利回りは18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い3.565%まで低下。新発30年債も18bp、新発40年債も10bp低下した。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「20年債入札はかなり強い結果だった」と語る。利回り水準の高さから需要があったことに加え、「片山財務相と上野厚労相のGPIFを巡る発言により、年金勢が買ってくるという思惑が生じた」と言う。
片山財務相と上野厚労相は14日、GPIFの資産構成割合(ポートフォリオ)の修正に前向きな姿勢を示した。市場は発言を好感し、円と債券は上昇していた。
政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案で、毎年言及してきた「財政健全化」の文言を削除し、金融政策については強い経済の実現に向け適切に行われることが「非常に重要」と言及。財政拡張や日本銀行の政策がインフレに対し後手に回るビハインド・ザ・カーブへの懸念が広がり、新発20年債利回りは9日に3.89%と1996年以来の高水準を付けた。
その後は、片山さつき財務相が10日、GPIFなどの年金基金による日本の金融資産投資を後押しする考えを表明。国内債への投資期待から買われ、利回りは低下した。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は20年債入札について、「不明玉」がかつてないほど多く、年金基金など最終投資家が落札した可能性があるとみる。ブルームバーグの調べでは、不明玉は81.73%だった。GPIFは証券会社を通さずに直接入札に参加できるため、不明玉が多いと年金基金が落札したとの思惑が出やすい。
松川氏は「不明玉がこれだけ多いとディーラーの在庫が減るため、かなり強烈な影響を相場に与える」と指摘。片山財務相と上野厚労相のGPIF発言の背景に「円安と連動した金利上昇を止めようとする高市政権の意図があり、債券相場への介入をイメージさせる」と語った。
入札後に20年金利が急低下したことについて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、閣僚のGPIF発言と強い入札結果を受けて、残存期間が長めの国債に弱気だった海外投資家などが買い戻しを迫られたと話した。今後はGPIFの運用姿勢や骨太の方針の中身を吟味する必要があり、「金利上昇局面が終わったとはまだ言えない」とみている。
(3段落の市況を追加して更新します)
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