米国はこの1週間で3回目となるイランへの攻撃を実施した。これを受け、イランは少なくともアラブ5カ国への報復攻撃に踏み切った。一方、ホルムズ海峡の航行が可能かどうかを巡っては、米国とイランの主張が食い違っている。

イランは12日未明、クウェートやヨルダン、カタールなど中東の米同盟国に対し、ドローン(無人機)やミサイルで攻撃した。これまでのところ、被害は軽微で、死傷者は報告されていない。

イラン政府は、ホルムズ海峡を「追って通知があるまで」封鎖すると宣言した。一方、米中央軍はこれを否定。同海峡は引き続き全ての船舶に開放されており、米軍は航行の自由を確保するため、必要な態勢を整えているとした。

各国海軍と商船との連絡調整を担う共同海事情報センター(JMIC)も12日、ホルムズ海峡の南側航路は引き続き通航可能だと報告した。

トランプ米大統領も同日、NBCテレビの番組「ミート・ザ・プレス」に出演し、同海峡は引き続き開放されているとの認識を示した。そのうえで「われわれは昨夜、徹底的に爆撃した」とし、「彼らは極めて邪悪で危険な人々だ」と語った。

激しさ増す報復の応酬

米中央軍はこれに先立ち、イラン軍がキプロス船籍のコンテナ船を攻撃したことを受け、トランプ大統領の命令により、イランの商船攻撃能力を標的とする追加攻撃を実施したと発表した。

イランのメディアは、同国南部沿岸で爆発があったと報じた。爆発は、エネルギー・石油化学産業の拠点ブシェールとアサルイエのほか、港湾都市バンダルアバスやホルムズ海峡に近いシリク周辺で発生したという。メヘル通信によると、南東部ケルマン州では通信塔が攻撃を受け、2人が負傷した。

国営イラン通信(IRNA)は「敵」が12日遅くにゲシュム島に向けて10発または11発のミサイルを発射したが、死傷者は出なかったと報じた。クウェート政府は、ドローン攻撃によりクウェート石油会社の掘削施設が損傷したと発表した。

米中央軍は12日早くに攻撃を終了したとしているものの、米当局者はニュースサイトのアクシオスに対し、米軍が革命防衛隊のミサイル・防空システムや小型艇を対象に「数回」の追加攻撃を実施したと明らかにした。

報復の応酬は激しさを増しており、米国とイランの協議の行方にも影を落としている。協議は、イランの核開発計画など主要争点の解決を図り、最終的な戦争終結を目指すものだ。

ヘグセス米国防長官は、ソーシャルメディアに「イランは誤った選択をした。その代償を払う時だ」と投稿した。

イラン革命防衛隊は12日、「外国勢力の干渉が終わるまで」ホルムズ海峡の船舶の通航は認めないと表明。エネルギー輸送の要衝である同海峡の管理を巡る問題は、米国とイランの協議における重要な争点となっている。革命防衛隊は、米国が複数の船舶をけしかけて「ホルムズ海峡南部に混乱を引き起こそうとしている」と非難した。

イラン革命防衛隊は同日、ヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地に向けて弾道ミサイルを発射し、米軍の指揮統制センターや複数のドローン格納庫を標的にしたと発表した。ヨルダン政府はミサイル3発が着弾したと明らかにしたが、被害の詳細は公表していない。

カタール政府は、迎撃されたイランのミサイルの破片により3人が負傷したと発表した。イランの準国営ファルス通信は、革命防衛隊がアルウデイド空軍基地を弾道ミサイルで攻撃したと報じた。

イラン正規軍は、米軍のパトリオットミサイル砲台、弾薬庫、レーダー施設を狙ったドローン攻撃を実施したと発表した。これを受けクウェート政府も、防空態勢を取っていると表明した。イラン軍はバーレーンの米軍通信施設とレーダー施設も標的にしたとしている。

イラン国営メディアによると、オマーンのドゥクム港にある米海軍の兵站(へいたん)拠点や空母向け給油施設も標的となった。オマーン外務省は、ムサンダム県とアルウスタ県を標的としたドローン攻撃を受け、イラン大使を呼んで抗議したと発表した。

IRIBの報道によると、革命防衛隊は11日、警告を無視してホルムズ海峡を通過しようとした貨物船に対し、警告射撃を行った後、その船舶を停止させた。ファルス通信は、イラン軍が「命令に従わなかった2隻目の船舶を攻撃し、停止させた」と報じたが、詳細については明らかにしなかった。

ホルムズ海峡の航行停滞

12日のホルムズ海峡では目立った船舶の往来はほとんど見られず、JMICは海上の安全保障上の脅威は「依然として深刻だ」と指摘。海峡に接近していた石油製品タンカーは2隻のみだった。積み荷のない超大型原油タンカー(VLCC)1隻は12日朝、オマーン側に近いペルシャ湾内で再び位置情報の発信を開始した。

同船はトランスポンダー(船舶自動識別装置)の電源を切った状態でオマーン湾からホルムズ海峡を通過したことを示唆している。ブルームバーグ・ニュースは、このVLCCがいつ海峡を通過したのか直ちには確認できなかった。

イランのアラグチ外相は11日、ホルムズ海峡の今後について協議するためオマーンを訪問した。ただ、米国の高官が協議に関与する兆候はみられなかった。

イランはこれに先立ち、最近の合意に基づく主要な約束を米国が履行するまで追加協議には応じないとし、停戦なしでも交渉を継続できるとのトランプ氏の主張を退けていた。

イラン政府は、ホルムズ海峡の通航問題解決と石油輸出の正常化に向けて、米政府がイラン側の条件を満たさなければならないとしている。

トランプ氏は10日、イランが米大統領の殺害という脅しを実行に移した場合、「1000発のミサイル」を浴びせると警告した。

米国はイランに対し、ホルムズ海峡のすべての航路が船舶の通航に開放されていることを公に宣言し、この海域を航行する民間船舶を攻撃しないと確約するよう求めている。トランプ政権の高官らは匿名を条件に記者団に対し、イランがこうした公の保証を示さなければ結果を伴うことになると述べていた。

原題:US, Iran Trade Strikes While Disputing Status of Hormuz (1)(抜粋)

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