(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ率が目標の2%をなお大きく上回る中でも、物価安定の実現を目指す姿勢を改めて示した。半期に一度議会に提出する金融政策報告が10日、公表された。
FRBのウォーシュ新議長の下で初めてとなる今回の報告書は、米経済について前向きな見方を示した。経済成長は堅調で、生産性も力強いと評価する一方、銀行システムにリスクの兆候はほとんど見られないとした。またイラン戦争や関税、テクノロジー関連製品の価格高騰を背景に、この1年間でインフレ率は上昇したと指摘した。一方で、価格変動の大きい項目を除いた「トリム平均(刈り込み平均)」など、他のインフレ指標はこの1年間で低下したことも強調した。
今回の報告は、インフレ圧力をより的確に把握するために、政策当局者はインフレ指標を幅広くとらえる必要があるとするウォーシュ議長の従来の主張と整合する。ウォーシュ議長は外部専門家が主導する5つの作業部会を設置しており、その一つはインフレ目標の枠組みを検討する。各作業部会は年末までに政策当局へ報告する予定だ。
報告書は「物価の安定は健全で安定した経済に不可欠であり、すべての米国民の豊かな暮らしを支えるものだ」と指摘した。その上で、「連邦公開市場委員会(FOMC)は、長期的なインフレ期待が確実に安定した状態に維持されるよう、断固たる対応を取る用意がある」とした。
ウォーシュ議長は来週、2日間にわたり議会で証言する予定で、14日午前10時には下院金融サービス委員会に出席する。
AIブームが経済に及ぼす影響にも言及し、企業による新技術の導入が生産性を押し上げている可能性があるとした。一方で、AI投資拡大に伴う半導体などの需要増加を背景に、コンピューターや電子機器、ソフトウエアの価格が今年大きく上昇したことも指摘した。
報告書には、FRB当局者の経済見通しの精度に関する分析も盛り込まれた。予測には依然として大きな不確実性が伴うと結論付けており、これはウォーシュ議長がフォワードガイダンスの縮小を主張していることとも一致する。
バランスシートについては、2022年後半以降、運営損失が続いているものの、累積営業損失を示す「繰り延べ資産」は1月初めから70億ドル減少し、約2360億ドルとなったと説明した。また、累積損失が解消した地区連銀は、合計で約60億ドルを米財務省へ納付したと報告した。ニューヨーク連銀は今年、FRB全体の純損益が2026年に黒字回復する可能性があるとの見通しを示していた。
原題:Fed Vows to Deliver Price Stability in Monetary Policy Report(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.