トランプ米大統領は8日、トルコで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談する。NATO首脳会議では、トランプ氏のグリーンランドに対する考え方や欧州の防衛費負担、イラン戦争に関連する問題を巡って緊張が高まる見通しだ。

ホワイトハウスのケリー報道官によると、トランプ氏は7日にトルコ入りし、エルドアン大統領と会談した後、翌日にNATO首脳会議へ出席する。

トランプ氏はゼレンスキー氏との関係には、これまでも曲折があった。大統領就任前には、政権復帰後1日以内にロシアとウクライナの戦争を終結させると公約していたが、それを実現できない状況にトランプ氏はいら立ちを募らせている。

トランプ氏は、欧州各国の首脳に対して、イランとの戦争に対する支持が不十分だと批判してきた。一方の欧州側は、ロシアとウクライナの新たな和平協議を支援するため、米欧が新たな取り組みを進めるよう求めている。ホワイトハウスはここ数カ月、イラン戦争への対応に追われており、米国が仲介してきたウクライナとロシアの協議は停滞している。

ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)によると、トランプ氏は4日、ロシアのプーチン大統領と電話協議し、ウクライナ情勢と今回のNATO首脳会議について協議した。

ウクライナは、長距離ドローンやミサイルでロシア奥深くの拠点への攻撃を強化している。一方、米政府高官は5日、匿名での電話会見で、現時点では双方とも大きな進展を得られていないとの認識は変わらないと説明した。また、トランプ氏はゼレンスキー氏と戦争終結に向けた取り組みについて協議すると述べた。

米国とNATOの緊張関係

米国とNATOとの関係は、以前から必ずしも良好ではなかったが、米国とイスラエルが2月28日にイランとの戦争を開始して以降、さらに悪化している。

トランプ氏は、開戦当初に米軍基地の使用を認めなかった複数のNATO加盟国に加え、ホルムズ海峡の再開に向けた米国への支援が不十分だったとして同盟国を批判した。また、防衛費を国内総生産(GDP)の5%へ引き上げていないことについても非難を繰り返し、米国が十分な見返りを得ているのか疑問を呈してきた。

米国のウィテカーNATO大使は電話会見で、「トランプ大統領は、すべての同盟国が直ちに行動を起こし、持続可能な形で5%を目指すだけでなく、可能な限り早期に5%へ到達することを期待している」と述べた。その上で、欧州の防衛費増額は極めて重要だと強調した。

米国はここ数カ月、欧州から部隊や軍事資源を引き揚げる方針を相次いで打ち出し、同盟国を動揺させている。米政府は欧州から5000人の兵力を撤収し、有事の際に提供する軍事資産も大幅に削減すると表明している。

また、トランプ氏はデンマークの自治領であるグリーンランドの取得を目指す姿勢でも欧州各国の反発を招いている。米政府高官によると、トランプ氏は依然としてグリーンランドの取得を望んでいるが、この計画に対する欧州の反対を踏まえ、別の選択肢も検討している。

先月末には、NATOのルッテ事務総長がワシントンを訪問し、緊張緩和を図った。ルッテ氏は、トランプ氏が加盟国に防衛費増額を促したことを評価するとともに、欧州の同盟国は米国と歩調を合わせていると強調し、NATOの重要性を強く訴えた。

一方のトランプ氏は、同盟国は米国のために行動していないとの持論を改めて示すなど、ほとんど態度を変えなかった。ルッテ氏はトランプ氏と良好な関係を築いており、かつてトランプ氏のことをNATOの「パパ」と称賛したことがある。しかし、欧州ではトランプ氏に対して過度にへりくだった対応だとの批判にも直面している。

先月の主要7カ国(G7)首脳会議を前に、米政府高官は、防衛負担が欧州諸国へ一部移行している現状を米国は歓迎しており、さらなる負担移転を期待していると述べていた。

プーチン氏の強硬姿勢

ロシアがウクライナを超えて欧州の他地域へ戦争を拡大することへの懸念から、欧州では緊張が一段と高まっている。

プーチン氏は、戦争終結に向けた米国特使との協議継続には応じる姿勢を示しているものの、双方に被害を与えている長距離攻撃の停止提案は拒否している。また、開戦から5年目に入った戦争で武力では掌握できていない地域も含め、ウクライナ領土に関する最大限の要求を掲げ続けている。

6月には、プーチン氏はゼレンスキー氏が提案した首脳同士の直接交渉を拒否した。

原題:Trump Heads to NATO Summit to Meet Zelenskyy, Face Wary Allies(抜粋)

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