カナダのカーニー首相は、国内の温室効果ガス排出量が今後数年間、従来の見通しを上回ると述べ、2030年の排出削減目標の達成が困難であることを事実上認めた。

カーニー氏は「Forward Guidance」と題した動画配信の第2弾で、カナダ政府のエネルギー戦略を説明し、世界的な原油価格の変動による生活費負担の増大、米国市場への過度な依存に伴う経済の脆弱(ぜいじゃく)性、脱炭素への移行を巡る課題という三つの危機に直面していると主張した。

「前政権から引き継いだ気候政策は善意に基づくものであり、策定当時には適していた。気候危機は今も続いており、それと闘うわれわれの決意は揺るがない。しかし、(トルドー前首相が就任した)2015年当時の世界を支えていた前提は、もはや存在しない」と指摘。「目標は変わらないが、時代が変わった以上、それを達成するための計画も変えなければならない」と強調した。

Photographer: David Kawai/Bloomberg

カーニー氏は、当面の排出削減目標を達成するために石油・天然ガス産業の成長を抑える考えはないことにも言明。「われわれが実施した変更により、今後数年間の排出量は、前政権の計画で予測されていた水準よりも高くなる。しかし私の判断では、この計画は長期的に見て持続可能ではなかった」と述べた。

さらに、従来の戦略では既に負担を抱える家計のコストを押し上げ、同盟国へのエネルギー供給能力を損ない、地域間の対立をさらに深めることになっていただろうと主張した。

今回の発言は、現行政策の下では、2030年までに排出量を2005年比で40-45%削減するというカナダの目標の達成が困難であることを、カーニー氏がこれまでで最も強く示唆したものとなる。同氏はこれまで、この目標へのコミットメントについて明言を避けつつ、2050年までのネットゼロ達成目標を重視する姿勢を示してきた。

ブルームバーグ・ニュースの委託でナノス・リサーチ・グループが実施した最新の世論調査では、回答者の55%が政府は石油・ガス輸出の拡大を優先すべきだと答えた一方、2030年の排出量目標の達成を優先すべきと答えたのは35%だった。

原題:Carney Concedes Canada Will Overshoot Emissions Forecasts(抜粋)

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