イランはイスラエルによる停戦違反があったとして、ホルムズ海峡を閉鎖したと表明した。イランは一方で、米国との和平協議再開に向けて交渉団をスイスへ派遣した。パキスタン外務省は米・イランの実務者協議が21日にスイスで開催されると明らかにした。

イランの準国営タスニム通信によれば、イラン軍統合作戦司令部はホルムズ海峡の閉鎖について、レバノン南部で続くイスラエルの攻撃に対する最初の回答だとしている。

当初は19日にスイスで開催される予定だった米イランの協議は、レバノン南部でのイスラエルと親イラン派武装組織ヒズボラによる衝突を受けて、いったん延期されていた。パキスタン政府はシャリフ首相とムニール陸軍元帥が、米国とイランの協議に参加するためスイスへ向かうと発表した。

イランは今週米国との間で署名された暫定和平合意の一環として、レバノンでの停戦を求めていた。一方でイラン国営テレビは20日、当局者らが米国との協議のためスイスへ向かっていると報じた。

バンス米副大統領は現時点でまだワシントンにいる。バンス氏は20日、FOXニュースとのインタビューで「数日内に」スイスに行けるようになるとの見方を示した。すでにウィトコフ、クシュナー両氏が実務者協議の事前調整にあたっているという。

「停戦合意を維持できることに強い自信がある」とバンス氏は述べ、「この交渉に期待している」と語った。

イランのタスニム通信がホルムズ海峡の閉鎖を報じた直後、バンス氏は閉鎖の証拠は米国側で確認されていないと述べた。

イランの国営IRIBはガリバフ国会議長とアラグチ外相、ヘンマティ中央銀行総裁を含む交渉団がスイス入りすると報じた。

ホルムズ海峡

ここ数週間、船舶はホルムズ海峡を2つの航路で通航していた。1つはイラン沿岸側、もう1つはオマーン沿岸に沿った南側の航路だ。イランは今週、いかなる船舶も同国の許可なしに海峡を通航できないと通知していた。この2つの航路の間には、戦争中に機雷が敷設されたとみられている。

米中央軍は20日、商船の交通量が55隻に増加しており、貨物と1700万バレル超の原油が輸送されたと発表した。

トランプ氏も20日のソーシャルメディア投稿で、60日間の停戦期間が終了した後であっても、イランがホルムズ海峡で通航料を徴収することは認められないとの考えを改めて示した。また「中東諸国の守護天使として提供したサービス」の対価を徴収できるのは米国だけだとの考えを示唆した。

米国とイランの停戦以前から、原油タンカーは夜間に衛星信号を切った状態でオマーン側航路を利用していた。数日前から20日早朝にかけて、両方の航路での船舶航行が見受けられた。

ポート・スルタン・カブース沖に停泊する船舶(6月20日)

レバノン

レバノン軍によると、イスラエルは南部とベカー高原を攻撃し、死傷者と大規模な物的被害をもたらし、国営通信はナバティエ周辺で5人が死亡したと報じた。

一方、ヒズボラはナバティエ侵攻を試みたイスラエル部隊と対峙したと主張。19日夜以降は停戦を順守しているが「敵による土地の奪取と占領拡大の試み」は容認しないと表明した。

イスラエル国防軍(IDF)はこれに反論し、ヒズボラが南レバノンの自軍に向けて一晩で50発以上の飛翔体を発射したため、武器貯蔵施設やロケット発射拠点、司令部などの標的を攻撃したと説明。停戦には引き続きコミットする一方で、イスラエルと自軍への脅威は排除し続けると述べた。

動画:AP通信の記者がブルームバーグテレビジョンでイラン・米協議について解説

トランプ氏への圧力

最終的な和平合意が先延ばしされるのは、トランプ大統領にとって痛手となる。同氏に対しては、イラン側に譲歩し過ぎているとの批判が上がっている。同氏は暫定合意によってエネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡が完全再開され、世界的な経済危機を回避できると主張していた。

19日朝には「われわれが切羽詰まって会談したのではない。イランの方だ。彼らは終わっている!」とSNSに投稿。「60日間の推移を見守る。イランには1セントたりとも渡さない」と述べた。

その後、大統領専用機「エアフォースワン」として使用される予定のカタール政府提供の新機体を公開したアンドルーズ統合基地で、双方にはなお合意に達する時間が残されているとの認識を示した。

「そうでなければ、彼らが喜ばないような措置を取ることになるだろう。しかし、そうした事態にはならないと思う」と述べ、「非常に良い結果になる」との見方を示した。

トランプ米大統領(19日)

原題:Iran Says Hormuz Closed Again as Talks With US Set to Open (3)(抜粋)

(第3段落にパキスタン首相のスイス行きを加え、第12段落にトランプ米大統領による最新のSNS投稿を加えます)

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