米製薬会社のアッヴィは、抗炎症薬のポートフォリオを強化するため、米バイオ医薬品会社アポジー・セラピューティクスを約110億ドル(約1兆7700億円)で買収する合意に近づいている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が事情に詳しい関係者を引用して報じた。

FTによると、全額現金による買収となり、22日にも発表される可能性がある。アポジーの18日終値90.38ドルに対し約60%のプレミアムを付けた水準となる。

19日の米国市場は、奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日のため休場。

実現すれば、アッヴィにとっては約6年前にアラガンを買収して以来、最大級の買収となる。アッヴィは、自己免疫疾患治療薬「ヒュミラ」や乾癬治療薬「スキリージ」などで知られている。4月には、免疫部門の好調などで四半期決算が予想を上回ったことを受け、通期の業績予想を引き上げた。

アポジーは、皮膚のかゆみや炎症を引き起こすアトピー性皮膚炎を対象とするものを含め、多くの有望な治療薬を保有している。ズミロキバルト(zumilokibart)と呼ばれる薬剤は、フランスの製薬大手サノフィの大型薬「デュピクセント」の競合薬となり得るとみられている。

アポジーのマイケル・ヘンダーソン最高経営責任者(CEO)によると、ズミロキバルトはデュピクセントとは異なる標的を狙う薬で、体内での効果がより長く持続するため、投与の頻度を減らすことができるという。

TDカウエンのアナリスト、タイラー・バン・ビューレン氏は今年初めの調査リポートで、ズミロキバルトはデュピクセントよりも「数値的に優れているように見える」と指摘。アトピー性皮膚炎の治療で新たな基準を打ち立てるものだと述べた。

ブラックストーンは5月、治療薬開発でアポジーを支援するため、将来の売り上げに対するロイヤルティーと引き換えに最大13億ドルの資金を提供した。

みずほ証券のヘルスケアストラテジスト、ジャレッド・ホルツ氏によると、アッヴィの治療領域における注力点を考慮すると、この買収が実現しても驚きはないという。

医薬品業界では大型買収が続いている。英GSKは今月、肺がん治療薬を開発する米バイオ医薬品会社ニューバレントを106億ドルで買収することで合意した。

「今年がバイオテク分野のM&A(合併・買収)にとって記録的な年になることは間違いない」とホルツ氏は述べた。

アポジーの株価は18日終値までの1年間で115%上昇。アッヴィの株価は同じ期間に約17%上昇した。

両社のコメントは得られていない。

原題:AbbVie Approaching $11 Billion Deal for Apogee Therapeutics: FT(抜粋)

--取材協力:Lisa Pham、Naomi Kresge、Gerry Smith.

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