(ブルームバーグ):日本銀行の氷見野良三副総裁は19日、今後も利上げ路線を継続し、原油高などの供給ショックでも基調的な物価上昇率の押し上げにつながると判断した場合は対応を検討すると語った。衆院財務金融委員会で述べた。
氷見野氏は基調物価が2%に近づく中、「経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げていく」と説明。利上げのタイミングやペースについては、中東情勢が国内経済・物価に及ぼす影響をよく見た上で、政策対応が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブに陥ることがないよう適切に判断していきたい」と述べた。
予想インフレ率が上昇を続ける中で、基調物価が「2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスク」を指摘。中東情勢を受けた供給ショックであっても、幅広い財・サービスに物価上昇が波及し、基調物価の押し上げにつながる場合は、「持続的な物価安定の実現に向けて金融政策で必要な対応を検討する必要がある」とした。
日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利を31年ぶりの水準となる1.0%程度に引き上げた。市場の関心は追加利上げの時期とペースに移っている。氷見野氏は基調的物価の上振れリスクを踏まえて利上げ路線を継続する方針を重ねて表明。ただ、具体的な時期やペースを示唆するような発言は控えた。
足元の企業間取引を中心とした価格転嫁のスピードは、4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で想定したスピードよりも速いと指摘。その上で、「夏ごろには消費者物価にも一定の影響が出てくるのではないか」との見通しを示した。
ブルームバーグは、6月会合での利上げを受けて17日にエコノミスト44人を対象に緊急調査を実施。次の利上げのタイミングについて、最多は12月の52%で、次いで10月が36%となった。9月の2%を合わせ、年内利上げの予想が90%を占めた。連続利上げとなる次回7月の見方はゼロだった。
氷見野氏は、基調的物価が2%を超えて上振れるリスクがある状況では、緩和度合いの必要な調整が遅れて後で急速な利上げを余儀なくされれば、「住宅ローン金利上昇を含め、家計・企業・経済全体に大きな負荷をかける可能性がある」と語った。
今回の利上げについては、物価上振れリスクが顕在し、それが経済や企業の経営環境に悪影響を及ぼすことを防ぐ意味でも必要な対応と指摘。利上げ後も緩和的な金融環境は維持され、「引き続き中小企業を含め、経済活動はしっかりとサポートされる」と述べた。
日銀が政策判断で重視する賃金と物価の好循環に関しては、「賃金と物価が相互に参照しながら上昇していくメカニズムは、全体としてみれば定着してきている」と分析。今後ともしっかり持続するかどうかを、さまざまなヒアリングを含めて丁寧に確認していく考えを示した。
為替動向を注視
19日の東京外国為替市場の円相場は午後1時10分現在、対ドルで161円40銭前後で推移。前日の海外市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を受けたドル買いの動きが続き、円は一時161円81銭と2024年7月の安値(161円95銭)に接近していた。
氷見野氏は、企業による価格転嫁の動きが積極化する下で、過去に比べると為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があると説明。予想物価上昇率の変化を通じて基調的物価上昇率に影響する可能性にも留意し、「適切に政策を判断していきたい」と話した。
氷見野氏は、半期に一度の「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)の概要を説明した後、質疑に応じた。通常であれば植田和男総裁が対応するが、肝嚢胞感染症の治療で入院中のため、氷見野副総裁が出席した。植田総裁が欠席した16日の会合では、氷見野副総裁が議長を務め、内田真一副総裁が記者会見を行った。
(質疑への答弁を追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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