「一帯一路」による圧倒的な投資規模と所有形態
「一帯一路」の開始以来、中国企業による海外の港への投資は、規模・件数ともに加速しています。現在、中国企業はタンザニア、オーストラリア、ナイジェリア、カンボジアなど、世界各国の129に及ぶ港湾事業に、総額600億ドル以上を投じています。
この圧倒的な動きは、他国による投資をはるかに超越するものです。例えばアメリカ政府には、海外の港湾建設に対して融資や建設を行うような取り組みはありません。また、中国には港湾建設に特化したセメントや鉄鋼企業のエコシステムが存在しますが、これらは近年のアメリカが注力してこなかった産業でもあります。

中国による港湾の所有形態は、国有・民間企業による様々な形があり、多くは多国籍企業や地元企業と協力して建設・運営を行っています。土地自体は現地政府が所有している場合でも、投資した港のうち17港では中国が経営権を握っています。こうした港では中国の影響力が強まり、特定の国の船を優先したり、他国の船の入港を拒否したりすることが可能になります。もっとも、現時点では中国自身が世界貿易を混乱させる理由は乏しいと考えられています。
ペルー・チャンカイ港の巨大プロジェクトと米国の批判
ここで再び、ペルーのチャンカイ港に目を向けてみましょう。この港は、中国の国有海運会社であるコスコ(COSCO)が60%、アルゼンチンの投資家が40%を所有しています。首都リマの約64キロ北に位置し、最終的な広さは約280ヘクタールと、ニューヨークのセントラルパークの約8割に達する予定です。この巨大な港は、中国が中南米で推し進める大規模なインフラ計画の一部にすぎません。

現在、南米の4大経済国(ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、チリ)のうち3カ国において、中国との貿易額がアメリカを上回っています。ペルーの輸出コンテナの3分の1は中国向けであり、アボカドなどの農産物や鉱物が運ばれています。ペルーはブラジルやチリなどの近隣国にとっても、中国へ至る重要な玄関口となっているのです。
チャンカイ港への初期投資額は13億ドルですが、需要が増えればコスコは総額35億ドルを投じて拡張すると表明しています。この港は水深が深いため、中国の主要港への直接輸送が可能となり、輸送期間の短縮やコスト削減を通じて、南米と中国の間の貿易をさらに拡大させる見込みです。
しかし、アメリカ当局はこの中国企業による巨額投資を許可すべきではなかったとペルーを批判しています。これに対し、ペルー側は「アメリカがこれまで大きな投資をしてこなかった」と反論しています。