・南米ペルーに中国出資の巨大港が開港し、国際物流が劇的に効率化

・世界に広がる中国の港湾網に米欧は安全保障上の懸念を強める

・インフラを欲する途上国と囲い込みを図る中国により貿易地図が激変

世界に広がる中国の「港湾帝国」

中国は毎年、約6万6000トンものアボカドを輸入しています。これはパリのエッフェル塔約6.5個分、あるいはシロナガスクジラ440頭分に匹敵する莫大な重さです。このアボカドのほとんどは、はるばる南米のペルーから運ばれてきます。かつては1カ月以上かかっていた輸送期間ですが、直行便の就航によって10日も短縮されました。

その背景にあるのが、中国が出資して建設された新たな「メガポート」、チャンカイ港の存在です。この港は、ペルーの農業輸出を3倍に増やすと見込まれており、中南米全体にとっても巨額の投資となっています。

しかし、中国が過去20年間で南極以外の全大陸に約100もの港を結ぶネットワーク、すなわち「港湾帝国」を築き上げてきたことに対し、世界中で懸念の声も上がっています。貿易摩擦が高まる中、これらの港は中国を戦略的に有利な立場にしていますが、同時に国際社会へ様々な波紋を広げているのです。

世界経済の要を握る中国の貿易戦略

港がなければ、現代の世界経済は事実上停止します。なぜなら、世界貿易の約8割は船で行われており、港はその要となるからです。

現在、世界のコンテナ貨物量トップ10の港のうち6つが中国に位置しており、中国自身の貿易もその95%が海路に依存しています。中国は海外から原材料を輸入し、国内で加工した製品を世界中に売ることで富を築いてきました。それゆえに、世界的な港湾ネットワークへのアクセスを確保することが、国家の成長にとって重要なカギとなります。

さらに中国は、港の保有だけでなく、世界最大のコンテナ船製造国でもあります。世界の貿易インフラを支配するための、こうした次世代を見据えた投資こそが、習近平主席の長年の看板政策である「一帯一路」構想の中核です。高速道路や鉄道によって古代のシルクロードを現代化すると同時に、中国と世界を結ぶ海上ルートを着実に確保しているのです。