(ブルームバーグ):企業間で取引するモノの価格を示す企業物価指数の上昇が鮮明になっている。価格転嫁の動きが積極化している中で、今後は消費者物価への波及の大きさが注目される。
日本銀行が10日に公表した国内企業物価は、5月に前年比6.3%上昇した。伸び率は2023年3月以来の高水準で、市場予想の5.6%上昇を上回った。前月比では0.9%上昇した。中東情勢の不安定化によるホルムズ海峡の事実上の閉鎖の影響が、石油・石炭製品や化学製品を中心に顕在化している。

企業間取引といういわゆる川上の物価上昇圧力の強まりが、川下の消費者物価に波及するのは時間の問題と言える。今回の企業物価の結果は日銀の利上げ判断を補強する材料になる。
日銀の植田和男総裁は3日の講演で、過去に比べて価格転嫁のスピードが速くなっている可能性があるとし、企業物価の上昇を踏まえて「企業間取引の価格は、既にはっきりと上昇し始めている」と説明した。
日銀調査統計局によると、5月は中東情勢の影響で石油関連製品を中心に広範な値上げ改定が見られた。前月の段階では、石油・石炭製品や石油化学製品などのいわゆる川上の財の価格上昇が中心だったが、5月はポリエチレンやポリプロピレンといった川中相当まで値上げが広がっているという。

前月比の上昇に大きく寄与したのは、ガソリンや軽油なとの石油・石炭製品で、政府による電気・ガス代補助金の終了も背景に事業用電力や都市ガスも押し上げ要因になった。このほか、ナフサ価格の上昇を受けて石油化学製品やプラスチック製品なども上昇している。
複数の関係者によると、日銀は15、16日の金融政策決定会合で政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.0%とする方向で検討する。原油高などを背景に物価が上振れていくリスクは高く、景気に悪影響を及ぼすリスクに対応する必要性が高まっているという。
足元の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、4月の前年比伸び率が1.4%上昇と22年3月以来の低水準となり、日銀が目標とする2%を3カ月連続で下回った。もっとも政府の物価高対策などの制度要因が下押しに大きく寄与しており、日銀公表の政策対応など特殊要因を除いた消費者物価は、4月に前年比2.8%上昇と伸びが加速した。
- 輸出物価指数の前年比は円ベースで20.6%上昇-前月は19.1%上昇
- 契約通貨ベースでは11.7%上昇-前月は9.7%上昇
- 輸入物価指数の前年比は円ベースで25.5%上昇-前月は21.0%上昇
- 契約通貨ベースでは15.5%上昇-前月は10.8%上昇
- ドル・円相場は前月比0.6%のドル安・円高
(詳細やチャートを追加して更新しました)
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