倫理的懸念と「インサイダー取引」という機能

一方で、「あらゆるモノの金融化」に対する批判や倫理的懸念も根強く存在します。

特に、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃準備の際などに取引が急増した「軍事行動への賭け」の是非が問われています。

カルシでは暗殺・テロ・戦争への賭けがCFTCの原則で禁止されていますが、国際企業であるポリマーケットにはその規制が及ばず、倫理に反する市場も多数開設されています。

さらに、インサイダー取引への視点も独特です。予測市場の理念では、内部情報は修正すべきバグではなく、市場を動かし真実へ導く「機能」とみなされます。

実際、ベネズエラのマドゥロ氏拘束直前、退陣に多額の賭けをして40万ドルの利益を上げた匿名の例など、事前情報を知る者の関与が疑われるケースもあります。

流動性が低い市場ではわずかな資金でオッズを操作できるリスクがあり、各社は不正抑制の規則や罰則を設けていますが、完全に断つことはできません。

また、結果の判定方法についても課題が残されています。

投資の現実とライトユーザーの実態

予測市場の推進派は、いずれ株式市場を凌駕すると主張しますが、実態は娯楽としての利用が大半です。

ブルームバーグなどの分析では、小口投資家ほど負けやすく、多額を投じるプロが大きく勝ち越すという「ウォール街と同じ構図」が浮き彫りになっています。

25歳の教師ブランドン・フィーン氏のように、リサーチを重ねてテイラー・スウィフトの売上予想を的中させた例もありますが、実際には多くのプロが高度な分析を行い、勘で動くライトユーザーを出し抜こうとしています。