赤い縁取りの看板に、おなじみとなっているベージュ色の箱型の建物。

中に入れば自分で焼くワッフルメーカーがあり、パリッとしたシーツ、そして分かりやすい場所にある照明スイッチが宿泊客を迎えてくれます。

部屋には、100%の満足を保証する小さなプレートが掲げられています。世界中どこへ行ってもその見た目はほとんど同じです。

アメリカで最も「想像通り」と言えるこの普通のホテルが、どのようにして最も儲かるホテルへと成長を遂げたのでしょうか。その驚くべき軌跡と成功の秘訣に迫ります。

モーテルとフルサービスの間を埋めた「代替案」

1950年代から1970年代にかけて、ホテルの選択肢は主に2種類しかありませんでした。

レストランなど様々な設備を備えた高級な「フルサービスホテル」と、道路沿いに建ち部屋のみを提供する最低限の設備の「モーテル」です。

しかし1980年代になると、一般の旅行者はもっと自分たちのニーズに合うものを求め始めました。中間層の旅行が増えたものの、誰もが市街地の高級ホテルにあるようなフルサービスのレストランや大きな屋内プールを必要としていたわけではありません。

かといって、かつては最先端だったモーテルも20〜30年が経って古びてしまい、旅行者からは敬遠されるようになっていたのです。

こうした状況の中で、まったく新しい代替案として誕生したのが「ハンプトン・イン」でした。

ヒューストン大学ヒルトン・カレッジ(ハンプトン・インの親会社であるヒルトンの創業者の名にちなんだ、世界最大のホテル業界の記録を持つ史料館)の史料管理者、マーク・ヤング氏によると、1983年に新しいタイプのホテルをゼロから開発することは、創業者の壮大な夢でした。

彼らが第一に考えたのは、顧客に「清潔・シンプル・スマート・快適な睡眠・無料の朝食」を手頃な価格で提供することでした。

余計なものを省くことによって、品質を落とさずに手頃なホテルを提供できることに気づいたのです。

こうして1984年、テネシー州メンフィスに最初のハンプトン・インが開業しました。