ローマ教皇レオ14世は25日、世界のカトリック教会に向けて就任後初となる公的書簡「回勅(かいちょく)」を発表し、人工知能(AI)は人類を危険から守るために「武装解除」されるべきだと訴えた。世界を変えつつあるAI技術を各国政府がどこまで規制すべきかを巡る激しい議論に、一石を投じた形だ。

レオ14世は産業革命や第2次世界大戦、ベルリンの壁崩壊の映像を交えながら、AIをより「人間に優しい」ものにする必要があると強調した。また、AIは独占的な支配から解放され、地政学的な目的や商業的利益を追求する手段として使われるべきではないとも主張した。

レオ14世は回勅のなかで、「武装解除とは、技術的な力が自動的に統治する権利を与えるという考えを否定することだ」と指摘。その上で、「武装解除とは、技術を拒絶することではなく、それが人類を支配するのを防ぐことだ」と説明した。

AI時代における人類保護の必要性について公然と議論に踏み込んだことで、史上初の米国出身教皇であるレオ14世が、トランプ米大統領と再び対立する可能性がある。トランプ氏は最先端技術を巡る中国との覇権争いで優位性を保つため、規制緩和を支持している。

レオ14世は、約1年前に世界14億人のカトリック信徒を率いる立場に就任した。ラテン語で壮大な人間性を意味する「Magnifica humanitas」と題された書簡の発表は、就任以来最も重要な発信となる。回勅は、気候変動や移民問題など、その時代の重要課題について教皇が道徳的指針を示す手段とされている。

数学を学んだ経歴を持つレオ14世は、戦争におけるコンピューター利用の危険性にも具体的に言及し、道徳的な観点が失われかねないと警告した。その上で、「いかなるアルゴリズムも戦争を道徳的に正当化することはできない」と述べた。

さらに、「AIは紛争に内在する非人間性を取り除くことはできず、むしろ紛争をより迅速化し、一段と非人間的なものにするだけだ」と指摘。一部の国が「武力衝突を国内問題から注意をそらす有効な手段、あるいは困難に対応するための冷笑的な道具と見なす可能性」にも警鐘を鳴らした。

規制のないAIの危険性に警鐘を鳴らす中、バチカンが機械学習専門家でアンソロピック共同創業者のクリストファー・オラー氏を招待したことも注目される。人気チャットボット「Claude(クロード)」を手掛けるアンソロピックは戦争や監視への技術利用を巡りトランプ政権と対立している。同社は情報技術(IT)システムの未知の欠陥を特定できるAIツール「Mythos(ミュトス)」を公開し、ここ数カ月で世界的な不安を呼んでいる。

オラー氏は教皇演説後、「宗教界や市民社会、学者、政府など、より多くの人々が教皇と同様にこの問題を真剣に受け止め、注意深く検討し、より良い方向へ導く必要がある」と発言。「研究開発企業が失敗している時に指摘できる十分な知識を持つ批判者が必要だ。利益誘導に左右されない道徳的な声も必要だ」と語った。

原題:Pope Says AI Should Be Disarmed to Avoid Dominating Humanity (1)(抜粋)

(アンソロピック共同創業者の発言を追加して更新します)

--取材協力:Donato Paolo Mancini、Seth Fiegerman、Zoe Schneeweiss、Chiara Albanese.

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