住宅性能評価書の取得状況
一般社団法人住宅性能評価・表示協会が公表した統計データによると、2021年度における設計住宅性能評価の交付戸数は約24万戸で、新築住宅全体に占める割合は約3割となっている。長期的にみると、制度開始当初は利用率が一桁台にとどまっていたが、その後徐々に利用が進み、近年では2~3割程度の水準で推移している。住宅着工戸数が減少する中でも利用率は緩やかに上昇しており、住宅の性能に対する関心が広がっている様子がうかがえる。
住宅の種類別にみると、戸建住宅では利用率が30.9%、共同住宅では25.5%となっており、住宅形態によって利用状況に一定の差がみられる。

また、評価書の内容をみると、性能の分野ごとに取得されている等級には特徴がある。例えば、2024(令和6)年度の新築戸建住宅における「構造の安定」に関する評価について見てみると、「1-1耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」では最上位である等級3の取得が圧倒的に多くなっており、等級1の取得率が0.6%であるのに対し、最上位の等級3の取得率は97.7%となっている。同様に、「1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)」においても、等級1の取得率が0.8%である一方、等級3の取得率は97.8%に達している。
これに対し、住宅の付加価値的な性能に位置づけられる項目では、高い等級の取得は限定的である。例えば、環境に関する評価項目において、採光・換気などの目的で外壁に設けられた窓やドアなど、新築戸建住宅の「8-4 透過損失等級(外壁開口部)」では、建築基準法に定める水準の遮音性能を満たす等級1の取得率は20%前後となっている一方で、居室の窓やドアに、JIS規格で高い遮音性能が確認されたサッシやドアを使用し、外部の音を十分に遮る特に優れた空気伝搬音の遮断性能が確保されている等級3の取得率は1%程度にとどまっており、高い遮音性能を積極的に確保している事例は多くないことが分かる。
また、「9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分)」についてみると、住戸内において建築基準法に基づく最低限の移動時の安全性が確保されている等級1の取得率は61.3%となっている一方で、高齢者等が安全に移動するための基本的な措置が講じられており、介助用車いす使用者が基本的な生活行為を行うための基本的な措置が講じられている等級3の取得率が19.6%、高齢者等が安全に移動できるよう特に配慮した措置が講じられ、介助用車いす使用者が基本的な生活行為を行うことを容易にする水準である等級5の取得率は0%となっている。
このように、住宅性能表示制度のデータからは、住宅の「基本的な安全性」は広く確保されつつある一方で、「快適性や付加的な機能」については住宅ごとに差があることが分かる。消費者にとっては、こうした違いを踏まえながら、自身の暮らしにとってどの性能を重視するかを考えることが重要となる。
なお、共同住宅については、等級の取得状況が戸建住宅と異なる傾向もみられる。例えば、新築共同住宅における「1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」の取得状況をみると、等級1の取得率が87.7%であるのに対して、最上位の等級3の取得率は5.4%となっている。これは建物の構造や設計の考え方の違いによるものと考えられ、住宅の種類によって評価の見え方が異なる点にも留意が必要である。