人工知能(AI)半導体で世界をリードする米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は20日の四半期決算発表後に開いたアナリスト向け電話会見で、AIテクノロジー活用の未来について深く語った。

今回に限ったことではないが、この日の電話会見は、同社とその製品がより良い未来へ導く存在だと説くフアン氏の世界巡回講演の一幕だった。同氏は公の場で、人々を教育することが自分の役割だと述べている。

皮肉をにじませる様子は一切なく、フアン氏は自分には他人に見えないものが見えていると信じ、自身の多くの主張を浸透させるためには必要なだけ公の場に出るべきだと考えている。

投資家は依然としてエヌビディアの見通しにおおむね強気ではあるものの、こうしたAIに関するレクチャーはすでに耳にしており、AIデータセンター向けコンピューター部品を供給するエヌビディアのような半導体メーカーに巨額の資金を投じている。エヌビディアの株価は大きく上昇したが、株式市場でもっと値上がりした企業もある。

20日に発表された2-4月(第1四半期)業績が再び市場予想を上回り、今期売上高見通しも大半のアナリスト予想を超えた企業に対しては厳しい見方かもしれないが、その数字を改めて考える価値はある。

世界のほぼどの企業にとっても、売上高見通しがウォール街予想を約40億ドル(約6400億円)上回るというのは好ましい材料だ。だがエヌビディアにとっては、3カ月ごとに訪れる水曜日の連続劇の一つに過ぎず、その驚異的な成功は定量化の試みをことごとく裏切ってきた。

翌朝のアジア市場では、エヌビディアの好決算を受けた投資家の熱狂で、テクノロジー株やサプライチェーン関連銘柄が急伸した。ジェンスン氏(本人もエヌビディアも、もはや姓をほとんど使わなくなっている)は、ロボティクスやヒューマノイドと自動運転車の普及に伴ういわゆる「フィジカルAI」の可能性について語った。これを受け、韓国のLGエレクトロニクスなど関連企業の株価は21日の取引で急上昇した。

その一方で、時間外取引のエヌビディア株にはそうした熱狂はあまり見られなかった。時価総額世界一のエヌビディアは、投資家還元策の強化も打ち出した。配当は1株当たり1セントから25セントへ引き上げられ、さらに800億ドルを自社株買い枠に追加すると発表した。

しかし、時価総額5兆ドル超の企業に資金を投じる以上、この驚異的な上昇が永遠には続かないのではないかという懸念に投資家が時間を費やすのは当然だ。

もちろんフアン氏は、それでも成長は続くと信じている。今回の説明で披露した論理展開は、同氏の並外れた能力をもってしてもかなり無理があった。

エヌビディア共同創業者のフアン氏は、同社が最大級顧客の支出への依存度が高過ぎるとの懸念を打ち消そうとし、将来的により広範な中小企業群がAIにさらに多くの資金を投じるようになると主張した。最大級顧客とは、「ハイパースケーラー」と呼ばれるマイクロソフトとメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アルファベット傘下グーグルを指す。

フアン氏は、「カテゴリー2」と呼ぶ新たな顧客区分を示した。これは産業分野や中小AIクラウド事業者などの企業群で、経済全体へのテクノロジー普及を主導しているという。ハイパースケーラーと異なり、これら企業は独自の部品やシステムを開発しておらず、それを提供できるエヌビディア製品は、この顧客層にとって事実上唯一の選択肢だというわけだ。

ハイパースケーラーは今年、AI向けチップや設備をデータセンターに導入するため7250億ドルを支出すると予想されており、フアン氏はその中でエヌビディアが大きな、いや拡大するシェアを維持するとみている。しかし同氏は、それを上回る需要の波がカテゴリー2から到来すると考えている。

現時点で投資家は、数字ではなくエヌビディアの説明を信じるしかない。2-4月のハイパースケーラー向け売上高は前年同期比115%増えた一方、カテゴリー2向け売上高は74%増だった。いずれも370億ドル超を計上した。

エヌビディアのコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、前四半期比ではカテゴリー2の伸び率がより高かった点を強調した。「われわれはすべてをカバーしている」とフアン氏は述べた。

(この記事は、テクノロジー業界のビジネスを世界中のブルームバーグ記者が掘り下げて伝えるニュースレター「Tech In Depth」からの抜粋です)

原題:Nvidia’s Huang Urges Investors to See AI’s Future: Tech In Depth(抜粋)

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