(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏率いるロケット、衛星、人工知能(AI)企業のスペースXは新規株式公開(IPO)を公に申請した。IPOとしては過去最大を更新する見通し。多額の損失や、マスク氏が支配権を維持できるようにする多議決権種類株の計画も明らかにした。
世界一の富豪が率いる世界最大の未上場企業であるスペースXは、企業価値2兆ドル(約318兆円)超で最大750億ドルの調達を目指していると、事情に詳しい複数の関係者が述べている。

実現すれば、サウジアラムコが2019年に記録した294億ドルのIPO調達額を上回ることになる。
米証券取引委員会(SEC)に20日提出した届け出によると、スペースXの1-3月(第1四半期)の売上高は46億9000万ドル、純損失は42億8000万ドルだった。前年同期は売上高が約40億ドル、純損失は5億2800万ドルだった。
一方、計画を実現できれば、最大10億株を含む巨額の報酬をマスク氏に付与する仕組みも設けている。
同氏が達成を求められる目標には、少なくとも100万人の火星居住地の建設が含まれる。その実現に先立ち、スペースXには宇宙空間におけるデータセンター構想を現実のものとする任務がある。同社はこれを、総額28兆5000億ドルに上る史上最大の潜在市場の一部と位置付けている。
前例のない規模のIPO計画は、成功すれば公開市場と未公開市場の双方を一変させる可能性がある。
大型上場後に株価が上昇すれば、財務情報の開示が限定的で株式の流動性も低い未公開企業が、ベンチャーキャピタル主導の資金調達ラウンドで正当化し難い高評価を受けているのではないか、との懸念を和らげることにもなりそうだ。
届け出資料によれば、マスク氏(54)は現在、スペースXのクラスA株の12.3%とクラスB株の93.6%を保有し、議決権ベースでは85.1%を握っている。クラスB株には1株当たり10票の議決権が付与されているため、マスク氏はIPO後も同社を支配し続けることになる。
ブルームバーグ・ニュースは4月、スペースXが上場に向けて非開示で申請していたと報じていた。届け出によると、正式社名をスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズとする同社はナスダックを上場先に選び、ティッカーシンボルは「SPCX」とする。
提出資料に基づくと、スペースXのIPOはゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーが主幹事を務める。バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、JPモルガン・チェースに加え、さらに18行が案件に参加している。
ブルームバーグ・ニュースが先に報じたところでは、スペースXが株式売り出し条件を開示する正式なマーケティングは6月4日にも開始され、価格決定は早ければ同月11日に行われる見通しだ。
スペースXは宇宙輸送業界で支配的な地位にあり、米航空宇宙局(NASA)と米国防総省(ペンタゴン)の双方にとって主要なロケット打ち上げ事業者となっている。現時点では、売上高の大半を衛星インターネット事業スターリンクから得ている。
長年にわたり未公開株市場の投資家に人気を集めてきたスペースXの未公開企業としての評価額は急速に拡大。同社が今年、マスク氏のAIスタートアップであるxAIを買収した後には1兆2500億ドルに達した。
この買収には、マスク氏が22年に総額440億ドルで取得したSNS事業X(旧ツイッター)も含まれていた。
企業価値が2兆ドルに達すれば、スペースXの時価総額はS&P500種株価指数構成企業のうち、ごく一部を除く企業を上回り、マスク氏が率いる米電気自動車(EV)大手テスラも超える規模となる。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、マスク氏の資産は6800億ドルで、IPOが成功すればさらに膨らむ可能性がある。
原題:SpaceX Filing Reveals $4.28 Billion Loss, Musk’s Tight Grip (3)(抜粋)
(1-3月期の損失やマスク氏が支配権を維持する多議決権種類株の計画などを追加して更新します)
--取材協力:Eric Johnson.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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