(ブルームバーグ):米エヌビディアは20日、最新の四半期決算発表を通じて、事業の多角化が進展していると強調した。投資家の間では同社に対する懐疑的な見方が強まっている。同社は急成長を支えてきた大規模データセンター事業者への依存を減らす考えだ。
ハイパースケーラーと呼ばれる大規模データセンター事業者の支出は引き続き急拡大しているものの、エヌビディアは今後、幅広い企業や各国政府がより大きな収益源になると予想している。これらの顧客は、自らの人工知能(AI)戦略を支えるため、エヌビディア製のチップやコンピューティング製品を積極的に購入すると見込まれる。

ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会見で、いわゆるフィジカルAIが、ロボットや自動運転車という形で巨大な新市場をもたらすとの見方を示した。「当社はあらゆる分野をカバーしている」と述べた。
もっとも、投資家の期待に応えるハードルは高まっている。エヌビディアは業績・見通しともに市場予想平均を上回ったが、株価は20日の時間外取引で一時、約1%下落した。大幅な増配を含む株主還元強化も、投資家の懸念を払拭するには至らなかった。
20日の発表資料によると、5-7月(第2四半期)売上高は910億ドル(約14兆5000億円)となる見通し。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均の870億ドルは上回ったものの、予想レンジ上限の960億ドルには届かなかった。
エヌビディアは株主還元も強化した。四半期配当を1株当たり1セントから25セントへ引き上げたほか、800億ドル規模の自社株買いも発表した。
AIコンピューティング分野で築いてきた支配的地位が、初の大きな挑戦にさらされている。さまざまな半導体メーカーが、同社事業の一角を切り崩そうとしているほか、エヌビディア製品の主要顧客も自前の半導体の開発を進めている。
同社株は今年に入り20%上昇しており、S&P500種株価指数を上回る一方、主要な半導体銘柄の多くに後れを取っている。

依然として優位
エヌビディアは、AIモデル開発に利用されるチップであるAIアクセラレーター分野で最大手とされる。ただ、ハイテク業界で競争は激しさを増している。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は対抗するプロセッサーを投入し、ブロードコムやアルファベット傘下のグーグルも独自技術で市場に攻勢をかけている。
もっとも、現時点でエヌビディアは優位な立場にある。ウォール街では、同社が今年の半導体業界全体の売上高の3分の1超を占めると予想されている。
フアン氏は発表資料で、「AIファクトリーの構築は、人類史上最大のインフラ拡張であり、異例のスピードで加速している」と述べた。
エヌビディアの売上高の中核を占めるデータセンター向け支出にも、減速の兆しは見られていない。ハイパースケーラーは今年、AI分野に計約7250億ドルを投じる計画だ。また、エヌビディアの最新決算を見る限り、こうした企業向けの売上高は引き続き他の顧客層を上回る伸びを示している。
エヌビディアは、アクセラレーターだけを販売しているわけではない。半導体製品に加え、ネットワーク機器やソフトウエア、AIモデル、さらにはコンピューターシステムまで幅広く手がける。それによって、同社の優位性は揺るぎないものになっていると経営陣は説明してきた。同社は、受注が供給能力を上回っており、需要対応に向け供給拡大への投資を進めているという。
2-4月期
2-4月(第1四半期)売上高は85%増の816億ドルだった。アナリスト予想平均は792億ドル。一部項目を除く1株利益は1.87ドルとなり、市場予想の1.77ドルを上回った。調整後粗利益率は75%だった。
売上高の内訳は主力のデータセンター部門が752億ドルとなり、市場予想の735億ドルを上回った。データセンター部門の一部であるネットワーク事業は148億ドルで、市場予想の127億ドルを超えた。
エヌビディアは決算資料で、「現在および将来の成長分野」をより適切に反映する新たな枠組みに移行すると説明した。今後はデータセンター売上高について、ハイパースケーラーと、AIクラウドや産業向け、法人向け顧客を指す「ACIE」を分けて表示する。
予想によると、エヌビディアの今年の売上高は3700億ドルを超える見通し。この規模は2021年度比で約22倍に相当する。四半期ベースの売上高は、同社に次ぐ上位3社の合計を大きく上回っている。
中国市場
フアン氏は、トランプ米大統領に同行した中国訪問から帰国したばかりだ。中国は半導体市場として世界最大規模を誇る。米国の輸出規制は、国家安全保障上の理由からAIアクセラレーター販売を制限しており、中国市場でのエヌビディアの成長を妨げてきた。
トランプ政権は、旧世代のエヌビディア製品について中国顧客への販売を認め始めた。ただ、国内サプライヤー育成を進める中国政府は、この動きに抵抗している。その結果、エヌビディアは中国市場からほぼ締めだされた状態にある。
同社は20日、中国からデータセンター収入を得ていないままだと明らかにした。
一方、同社は今年の中央処理装置(CPU)事業の売上高が200億ドルに達するとの見通しも示した。実現すれば、CPU供給で世界最大手になる見込み。
原題:Nvidia Tells Dubious Investors AI Is Ready to Go Mainstream (1)、Nvidia Tells Skeptical Investors AI Is Ready to Go Mainstream、Nvidia Gets Tepid Reaction to Forecast, Ups Investor Rewards (1)(抜粋)
(チャートや16段落目以降に発表内容を追加して更新します。更新前の記事で見出しを訂正済みです)
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