米国は、キューバのラウル・カストロ元国家評議会議長(94)を殺人罪で起訴した。トランプ政権は約70年続く共産主義体制の転換をキューバに迫っており、今回の措置で両国の対立は一段と激化しそうだ。

ブランチ司法長官代行が20日、フロリダ州マイアミでカストロ氏の起訴を発表した。罪状は、1996年2月にキューバが、同州を拠点とする亡命キューバ人団体「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー」が運航していた民間機2機を撃墜した事件に関連する。

国際民間航空機関(ICAO)の調査によると、撃墜された2機のセスナ機はキューバ領空外を飛行しており、4人が死亡した。事件当時、カストロ氏は国防相を務めていた。この事件は直ちに重大な外交問題となり、その後30年にわたり緊張の火種となってきた。

ブランチ氏は「キューバ政権の最高指導部が、米国民の死亡につながった暴力行為を巡り、米国内で起訴されるのは約70年で初めてだ」と述べた。

カストロ氏の起訴は、トランプ政権がキューバへの圧力を強める中で打ち出された。事実上の米国による封鎖で燃料輸送は途絶え、キューバ政府は老朽化した発電所向けの軽油や重油が底を突いたとしている。停電は深刻化し、病院や水道、食料配給にも支障が広がっている。

今回の措置に先立ち、米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官がキューバを訪問し、同国指導部と協議していた。米代表団を率いたラトクリフ氏はキューバ当局者に対し、トランプ政権としては交渉を望んでいるが、それはキューバが改革を実行した場合に限ると伝えたという。ラトクリフ氏は、トランプ米大統領の姿勢を重く受け止める必要があると強調。その根拠としてベネズエラの例を挙げた。

来月95歳となるカストロ氏は、2008年に兄フィデル氏の後任として国家評議会議長に就任し、2011年には共産党第1書記を引き継いだ。現在は公職に就いていないものの、水面下でなお影響力を維持していると広くみられている。

原題:US Charges Cuba’s Raúl Castro With Murder Over 1996 Shootdown(抜粋)

(第5段落以降を追加します。更新前の記事で司法長官代行の名前表記を訂正済みです)

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