植田総裁は利上げに一段と踏み込んだが、6月か7月かは微妙な判断

パリで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議に出席していた植田日銀総裁はこの日、ベッセント米財務長官と会談を行った。

ベッセント財務長官との会談内容について直接言及しなかったものの、植田総裁は記者会見で足元の長期金利について「早いスピードで上昇している」(日経)との認識を示した。

具体的には、「背景として一番大きいのは市場参加者の間の認識(の変化)」(同)と説明し、「中東情勢を背景に、インフレ懸念の高まりが世界的に長期金利の上昇をもたらしている」(同)とした。

これまでよりも、インフレと金利上昇に対して警戒的な発言である。

また、植田総裁が「インフレ期待、短観や足元のBEIでは少し上振れているので注意してみていきたい」(ロイター)と述べたことは重要である。

日本の10年BEIは連日で上昇しており、1月27日につけた2.00%を大きく超え、5月19日には2.33%となった。

インフレ予想を目標(2%)にアンカーするためにも、行動が必要になっていることは明らかである。植田総裁は「持続的・安定的な2%のインフレ率の達成目指して適切な政策運営に努めることに尽きる」とも述べたが、インフレ予想の上振れは、十分な利上げの根拠になるだろう。

ただし、6月15-16日に利上げが決まるかどうかについては、微妙なところである。

植田総裁が言及した「短観」の最新のインフレ予想は7月1日に得られる予定である。

経済の下振れリスクも考慮するとすれば、短観の結果を待った上で、7月30-31日に利上げを決めた方が、説明がしやすいだろう。

現時点では、6月決定会合では7月利上げを条件付きで示唆した上で、7月利上げを前提に議論が進んでいくのではないかと、筆者は予想している。

(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)