(ブルームバーグ):高市早苗首相は2日、訪問先のベトナムで演説し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の進化に関する基本的考え方を表明する。中国の影響力が強まる中、経済安全保障面を含めた連携強化を呼び掛ける。
出発前の1日、高市氏は記者団に対し、厳しい国際環境も踏まえながら「各国の自律性、強靭性を確保していくための具体的協力を発信したい」と述べた。
高市氏は首相就任時の所信表明演説で、FOIPを時代に合わせて進化させることに意欲を示していた。FOIP提唱から10年間の国際情勢の変化や技術革新を踏まえ、今回の演説では自身が重視する経済安保分野での取り組みなどを拡充する方針を明確にするねらいがある。

具体的には、エネルギーや人工知能(AI)分野での協力、ベトナムが現在議長国を務める環太平洋連携協定(TPP)の拡大、防衛装備品の供与や政府開発援助(ODA)を通じた安全保障・防衛面での連携拡大などを打ち出す見通しだ。
FOIPは安倍晋三元首相が2016年8月ケニアで行った演説で提唱した。日本は「太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育て豊かにする責任を担う」と表明。その後、トランプ米大統領と同方針を進めることを確認した。
レアアース
今回、高市氏は1-5日の日程でベトナムとオーストラリアを訪問する。
高市氏は1日、一連の訪問を通じ、中東情勢を踏まえた地域のエネルギー安定供給や重要鉱物を含む供給網の強じん化についても協力を確認すると述べた。こうした取り組みは、「日本における原油・石油製品などの重要物資の調達にとっても重要だ」と話した。
ベトナムは日本にとって中国に次ぐレアアース(希土類)輸入先で、供給網の強化に欠かせない重要なパートナーだ。中東情勢を受け、原油不足が生じているベトナムに対しては、出光興産が原油を融通するなど、両国の協力が進んでいる。
今月中旬に高市氏は東南アジアなどの原油・石油製品調達を後押しするため、約100億ドル(約1.6兆円)の金融支援を行うことも表明していた。
ベトナムでは2日午前にフン首相との首脳会談や共同記者発表を行った後、トー・ラム国家主席兼共産党書記長との会談に臨む。
その後高市氏は、レアアースの供給網多角化に向けて協力が進んでいるオーストラリアを訪問する。最大手ライナスに対しては、双日と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が11年に設立した特別目的会社「日豪レアアース」を通じて出融資を行っている。
オーストラリアでは、4日にアルバニージー首相と会談と共同記者発表を行う。同国とは防衛協力も進んでおり、次期汎用フリゲートには「もがみ型」護衛艦の改良型が選定された。4月には3隻に関する契約を締結し、主契約者の三菱重工業が日本で建造する。
--取材協力:村上さくら.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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