国際通貨基金(IMF)で対日審査を担当するラフル・アナンド氏は、日本銀行の金融政策について、緊迫する中東情勢など不確実性が高まる中では、市場との対話がいっそう重要性を増すとの見方を示した。

米ワシントンでブルームバーグのインタビューに15日応じた。アナンド氏はIMFによる日本経済に関する審査(対日4条協議)を率いた。

IMFのラフル・アナンド氏

アナンド氏は日銀に関して「市場期待を安定させる上で、明確なコミュニケーションは極めて重要」と指摘。「日銀はこれまでもうまく対応してきたが、不確実性が高い状況ではさらに重要性が増す」と語った。

日銀は27、28日に金融政策決定会合を開き、利上げを実施するかどうかを議論する。ただ、米国・イスラエルとイランとの戦争による中東情勢が不透明で、難しい政策判断が求められる局面となる。物価上昇と景気後退が同時進行するスタグフレーションが懸念され、経済や物価への影響は一段と見極めにくい状況だ。

4月利上げの可能性について、アナンド氏はIMFとして各会合での政策判断は予想していないと述べるにとどめた。対日4条協議の報告書でも指摘したように、日銀は金融緩和の縮小を継続し、2027年にインフレ率が2%に収束する際には中立金利に到達すべきだとした。

IMFは14日の世界経済見通しで、「日本の政策金利は昨年10月時点での見通しよりやや早いペースで徐々に上昇し、1.5%前後の中立水準に向かっていく」と分析した。

足元で4月利上げの市場予想は後退している。13日の信託大会で代読された植田和男総裁の発言では、政策判断で重視している基調的な物価上昇率に関し、原油価格の上昇は「上下双方向に作用する可能性がある」とした。

景気の下押しを通じて基調が下振れる可能性がある一方、予想物価上昇率が高まれば基調を押し上げる作用があることにも言及した。

植田総裁は、20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議など一連の国際会議出席のため、ワシントンを訪問中。閉幕後には記者会見が予定されており、会合前の山場となる情報発信の機会に注目が集まっている。

財政、為替政策

アナンド氏はまた、日本国債利回りの最近の上昇について、世界的な金利動向や財政リスクへの懸念が複合的に影響していると分析する。

13日の日本市場では、米国とイランが週末の協議で戦争終結に向けた合意に達しなかったことを受けて、長期金利の指標となる新発10年国債利回りが一時2.49%と、1997年以来の高水準を付けた。

IMFによれば、日本の一般政府債務は2026年に国内総生産(GDP)比で204%に上り、借入コストの上昇は引き続き課題となる。アナンド氏は、利払い費や社会保障費の今後の増加に備える意味で「財政余力を維持することが重要」と強調した。

為替政策を巡っては、IMFは対日協議の報告書で「介入は例外的な状況に限定することが重要」との見解を表明している。アナンド氏は「外部ショックに対する第一の防御手段として、円の柔軟な変動が重要だ」と話した。

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