(ブルームバーグ):オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングの株価は過去最高値の更新を続け、欧州市場でその存在は際立つ。それにもかかわらず、同社の相対的なバリュエーションは、長らくなかったほど割安だ。
ASML株価は年初来で64%上昇しているが、人工知能(AI)関連需要の急拡大を追い風とする米国の半導体セクター全体の上昇率を下回る。米アプライド・マテリアルズなどの同業他社や、サムスン電子のような主要顧客の株価上昇率にも及んでいない。
ASMLは半導体メモリー価格の急騰などで好況の間接的な恩恵は受けているが、値上げに慎重な姿勢や同社製次世代装置の普及ペース、供給拡大能力を投資家は不安視している。予想利益に基づく株価収益率(PER)は主要な同業他社との比較で、過去10年余りで最も低い。
バーンスタインのアナリスト、デービッド・ダイ氏はインタビューで、「市場需要が非常に強くなるとしても、その需要を収益に結びつけられないのではないかという多大な懸念がある」と述べた。
ヘッジファンド投資家がASMLを空売り、他の半導体銘柄を買うことも多いと、同氏は指摘した。
ASMLは株価についてのコメントを控えた。

先端半導体の製造に必要な微細な回路パターンの焼き付けに使われる極端紫外線(EUV)露光装置の唯一のサプライヤーであるASMLは、AIブームに乗る典型的な銘柄であるように見える。
だが、需要急増で半導体価格が高騰する中でも、ASMLのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は4月、需要が強いという理由だけで装置価格を引き上げるつもりはないと表明。同社のEUV露光装置は1台当たり3億5000万ユーロ(約650億円)以上にもなり、値上がりの可能性は当面低いとバークレイズのアナリストはみている。
ASMLに対するもう1つの懸念は、同社の最先端装置の普及が進んでいないことだ。台湾積体電路製造(TSMC)は、半導体製造への同装置導入を2029年以降に先送りする方針を示した。
だが、導入がその後すぐに始まる保証もないと、ベ-クウェル・アルファ・ファンドのディレクター、ケン・ホイ氏は指摘した。
同氏によると、TSMCは既存装置の生産性向上を進めており、2030年前後に登場すると見込まれる1ナノメートルプロセスの半導体ですら、次世代EUV装置を必要としない可能性があるという。
半導体業界が現在力を入れているのが露光やエッチング、先端的なパッケージングといったリソグラフィー以外の工程であることから、半導体メーカー全体の投資額に占めるASMLのシェアが最終的に縮小するとの懸念も、投資家は抱えている。

原題:ASML’s Surge to Record High Masks Lowball Valuation Versus Peers(抜粋)
--取材協力:Andre Janse Van Vuuren.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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