イラン戦争が始まってから2カ月近くが経過したが、終結の見通しは立っていない。それでも当初の混乱を経て、ウォール街はこうした雑音を意に介さなくなりつつあるようだ。

S&P500種株価指数は3月27日以降に10%近く値上がりし、3週連続の上昇に向かっている。同期間にナスダック100指数も約12%上昇し、10営業日連続高と、2021年以来の長い連騰となった。

米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに下落局面が5週間続いた後、トレーダーは中東の悪材料を受け流し、株式への投資を継続している。

BCAリサーチの米国チーフ投資ストラテジスト、ダグ・ピータ氏は「株式市場、ひいては金融市場全般が、ホルムズ海峡をそれほど懸念しているようには見えない」と述べた。

マクロ経済リスクの高まりを背景に株式は再び連動して動き始めているが、新たな決算シーズン入りにより、イラン情勢のニュースよりも企業業績が株価を左右する可能性が高まっている。

ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏によれば、株式相場の回復の背景には機関投資家の動きがある。積極的な売りの後、関心は再びファンダメンタルズに戻り、これが市場を支えているという。

一方、急速な反発や機関投資家による指数連動型商品の活用で高まっていた株式間の相関は、今後落ち着く見通しだ。指数構成銘柄の1カ月実現相関を示す指標は昨年5月以来の高水準付近で推移しており、企業固有の要因よりもマクロ経済のニュースで株価が動く傾向が強まっていたことを示唆している。

ハケット氏は「市場が落ち着けば、年初に見られた傾向に戻り、勝ち組と負け組の差が拡大するだろう。海外株、小型株、バリュー株の強さが際立つ」と述べた。

13日の取引は、戦争を巡る不安が和らいでいることを示した。米国とイランが週末の和平交渉で打開策を見いだせなかったことを受け、取引開始時点でS&P500は横ばいで推移したが、取引終了時には1%上昇した。結果として、同指数は戦争による下げを埋めた。14日も1.2%上昇した。

ベテランのストラテジスト、エド・ヤルデニ氏は、この状況に既視感があると指摘する。ロシアとウクライナの紛争と同様に、金融市場はイラン戦争と共存することを学びつつあると、同氏は12日の投資家向けリポートで述べた。S&P500が3月30日に底を打ったとの見方も維持している。

BCAリサーチのピータ氏は、イランの核開発計画を巡って米国とイランが現在「技術的な条件を巡って交渉している」状況にある中、両国が緊張緩和に向けて速やかに進展するとの見方を示す。和平交渉が進展すれば、紛争に伴い株式や債券に上乗せされていたリスクプレミアムの大半は剥げ落ちる見通しだ。

もっとも、先行きの不透明感や紛争の波及効果により、「成長懸念による下落」のリスクは高まっていると、RBCキャピタル・マーケッツのロリ・カルバシナ氏が指摘した。

カルバシナ氏によると、3月の安値時点でS&P500の割高感は解消されていたものの、現時点の株価は単独で投資判断の買い材料となる水準にはまだ達していない。

同氏は12日の顧客向けリポートで「戦争やその影響を巡るファンダメンタルズの見方が変われば、バリュエーションの観点から株価には再び下落余地があり、以前よりも大きく下げる可能性もある」と指摘した。

ネーションワイドのハケット氏は、紛争の見通しがより明確になるまで、S&P500が過去最高値を更新するのは難しいとの見方だ。

同氏は「合意に向けた目に見える進展があるまでは、最高値をはっきりと上抜けるのは難しい」と述べた上で、「ただ、その時が来れば、慎重なポジショニング、堅調なファンダメンタルズ、見通しのリセットにより、市場には大きな上昇余地がある」と語った。

原題:Wall Street Investors Learn to Live With War as Stocks Surge(抜粋)

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