(ブルームバーグ):ウォール街の米金融機関のトレーディング部門は1-3月(第1四半期)に、世界市場を揺るがした地政学的混乱の中で顧客取引が活発化し、収益が過去最高を記録した。一方で投資家は、市場のボラティリティーが他の事業分野を揺るがす恐れがあるとして懸念を強めている。
シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの経営幹部は、イラン戦争が長期化すればディール活動の鈍化につながる恐れがあると警告した。すでに戦争でガソリン価格が上昇を続けており、消費者に負担をかけている。
経済的な痛みが米国や世界でどの程度広がるかは、紛争の長さに左右されると幹部らは指摘。インフレ懸念の高まりを受け、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が後退している一方、消費者はすでにガソリン価格の上昇の影響を感じ始めている。
シティグループのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は14日、「この状況が長引くほど、世界中で二次的・三次的な影響がより顕著になる。インフレは現在、成長に対するより大きなリスクとなっており、中央銀行はより引き締め的な金融政策に傾く可能性が高い」と述べた。

原油価格が上昇する前は、ガソリン支出はウェルズ・ファーゴの顧客のデビットカード支出全体の6%、クレジットカード支出の4%を占めていた。チャーリー・シャーフCEOは1-3月決算発表後、現在はデビットで7%、クレジットで5%に上昇していると明らかにした。
ウォール街の明暗は14日に鮮明となった。5年ぶりの高水準となる有形普通株自己資本利益率(ROTCE)を記録したシティグループはKBW銀行株指数を下支えした一方、純金利収入が予想を下回ったウェルズ・ファーゴは最も低調な値動きとなった。
JPモルガンの株価も下落した。同行は、想定される規制により200億ドル(約3兆2000億円)の追加資本保有を迫られる見通しを明らかにした。ジェイミー・ダイモンCEOとジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は規制案を批判した。
市場部門は一般に変動が大きい局面で恩恵を受けやすく、今年はイラン戦争による混乱や人工知能(AI)、プライベートクレジットを巡る懸念が追い風となっている。トレーディング部門はすでに、2024年大統領選挙でのトランプ氏勝利以降、政策変更が株式、金利、商品市場を大きく揺らす中で好調が続いていた。
これまでのところ米国の消費者は、こうした混乱を家計面で持ちこたえていると銀行幹部は述べた。
シャーフ氏は決算資料で、「市場は不安定だが、基礎的な経済の底堅さと消費者の財務健全性は引き続き確認できる」と述べた。
JPモルガンのバーナムCFOは、堅調な労働市場が個人を支えているとの認識を示した。
バーナム氏は「中東で悪い結果が生じ、エネルギー価格の大幅上昇などの問題が起きれば」悪影響はあり得るとした上で、「結局のところ、ガソリン価格が上昇しても消費者は持ちこたえており、全体の構図は変わっていない」と述べた。
プライベートクレジット
銀行幹部はまた、プライベートクレジットとの関係を巡る懸念の払拭(ふっしょく)も図った。同資産クラスは、貸し出しの質や、AIによる影響を受けやすい企業へのエクスポージャーに一段と厳しい目が向けられている。
ゴールドマン・サックスは13日に1-3月決算を公表し、小口向けプライベートクレジットファンドを巡る「騒ぎ」は今後も続くとの見方を示した。1週間前の届け出によれば、非上場ビジネス開発会社(BDC)として運営される157億ドル規模のゴールドマン・サックス・プライベートクレジットは、1-3月(第1四半期)に株式総数の4.999%相当の払い戻し請求を受けた。
14日に決算を発表したJPモルガン、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの3行は、プライベートクレジット向けエクスポージャーが少なくとも1000億ドル規模に上ることを明らかにした。ウェルズ・ファーゴは1-3月時点で約362億ドル、シティグループは10-12月時点で220億ドルの関連融資を報告している。
JPモルガン・チェースのエクスポージャーは500億ドルで、ジェイミー・ダイモンCEOはアナリストとの電話会議で「特に懸念していない」と述べた。
原題:Bank Traders Get Jolt From Volatility That Crimps Other Units(抜粋)
--取材協力:Todd Gillespie、Yizhu Wang、Hannah Levitt.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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