生成AI時代のAI-Ready~人とAIの役割分担ができているか
冒頭で触れた「AI-Ready」とは、単にAIを使える状態にすることに加えて、AIを含め人が判断できる状態を整備することを指している。
ある先行研究によれば、AI自体は同じでも、仕事の進め方、意思決定権限、インセンティブを人に合わせて設計した場合と、そうでない場合とでは成果が異なり、AI導入の成否がAIの性能だけでなく、人とAIとの協働を前提とした接点の設計に左右されることが示唆されている。
生成AI時代において、データ処理や整理そのもののハードルは確実に下がっていくと思われる。
その一方で、やや矛盾するようではあるが、どの論点が重要かを見きわめ、どの打ち手を先に置くかを決め、それを施策としての順番に落とし込むことこそ、人に残る役割としてむしろ明確になっていくようにも感じられる。
今回、事例にあったデータに基づく仮説モデルの構築と、そのシミュレーションや生成AIとのコンビネーションは、あくまで簡易的であり現実の前提や制約を十分に織り込めておらず参考程度に留まるものの、その古くて新しいアプローチの1つと思われる。
本稿の事例が示す通り、データは企業の意思決定の答えを自動で出してくれるものではない。
だからこそ、データを、人がより直感的に理解しやすい形に加工し、人が打ち手の仮説とその優先順位にまで翻訳できる状態をいかに整えるのか。
本当の「AI-Ready」の実現に向けて、生成AIでデータが巷に溢れかえる時代だからこそ、あらためて問われているのではないだろうか。
(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員 小口 裕 )
※なお、記事内の「図表」と「注釈」に関わる文面は、掲載の都合上あらかじめ削除させていただいております。ご了承ください。