生成AI時代、データ活用の難しさはどこにあるか

最近、「AI-Ready」という言葉を耳にすることが増えた。これはAIシステムを準備すること(Ready)というより、そこからの示唆を、人の判断につなげられる状態であることを示す言葉でもある。

生成AIの普及によって、データ利活用に関わる企業の状況は一見すると改善につながっているように見える。

たしかに、生成AIの登場によって、情報の収集、整理、要約、論点の洗い出しなど、人の判断に繋がる処理スピードは以前より速くなった。

しかし、だからと言って何かの判断がしやすくなったかというと、必ずしもそうではないようにも感じられる。

むしろ、材料が増えたことで、「どこを重視し、どこから着手すべきか」が見えにくくなることもあるのではないだろうか。

若年層施策は「共感」から「関与」へ

こうした状況について、20代のサステナビリティ分野の施策設計を事例にもう少し考えてみたい。

若年層向け施策では、これまで(施策の目指す目的に対して)「まず共感を得ること」や「自分ごと化させること」(若年層に、その目的や問題を自分自身のこととして感じてもらうこと)が重視される場面が多い。

たしかに、自分に関係があると思えなければ、自身の行動の入口も立ち上がりにくい。

その一方、分析を進めると、「共感」や「自分ごと化」だけでは十分ではないことがわかる。

ニッセイ基礎研究所の分析によれば、20代のサステナビリティに関する気持ちの流れをたどると、まず「大事なことだ」という責任意識が立ち上がり、それが「自分にも関係がある」という自分ごと意識につながる。

そのうえで、「自分にもできそうだ」という感覚や、調べる、話す、共有するといった社会との関わりが高まり、最終的に行動へ近づいていく。

一方で、その途中には、「何をすればよいかわからない」「手間がかかりそうだ」「時間やお金に余裕がない」といった経路上の制約もある。

このように、若年層にとって、サステナブルな行動を取るための意思決定の経路は、必ずしも一直線ではない。

そして、20代では特に「社会との関わりが立ち上がるかどうか」が、行動に近づくうえで大きな意味を持っていることが明らかになっている。

「共感した」「納得した」「自分にも関係があると思った」という段階を越えて、「調べたくなる」「誰かと話したくなる」「共有したくなる」ところまで進んで、はじめて具体的な行動が取りやすくなる。

若年層向けの施策では、共感を得ることに加えて、「(誰かと話し、共有し合うことまでを設計対象に入れながら)『関与』(物事に主体的に関わろうとする意識)を育てること」の重要性がうかがえる。