ヘッジファンドが米国株に対する弱気ポジションの解消を急いでおり、そのペースは2020年3月のパンデミック(世界的大流行)による急落後に市場が反発した局面以来となっている。

ゴールドマン・サックス・グループのトレーディングデスク部門は、トランプ米大統領が対イラン戦争で暫定的な停戦合意を発表した直後の7日遅く、主要株価指数や上場投資信託(ETF)などのマクロ商品に関連する空売りポジションの解消がヘッジファンドマネジャーの間で急加速したと明らかにした。同行によると、こうした巻き戻しの規模はパンデミック初期に見られた水準に達する見通しだ。

ゴールドマンで米州株式エグゼキューションサービス責任者兼パートナーを務めるジョン・フラッド氏は8日、顧客向けメモで「これは市場が待ち望んでいた出口だ」と指摘。自身が対話している投資家の間では今回の動きが紛争の「終わりの始まり」になる可能性が高いとの見方が広がっていると述べた。

こうしたポジション解消の動きは、8日の米国株の上昇を後押しした可能性がある。S&P500種株価指数は8日、リスク選好の急速な回復により、2.5%上昇した。

ゴールドマンのプライムブローカレッジ部門がまとめたデータによると、原油価格のショックが米国の成長を損ないインフレを再燃させるとの懸念から、株式市場の一段安に賭けるポジションの積み上がりが進んでいたが、今回の動きはその流れからの大きな転換を示すものだ。米国の主要株価指数や上場投資信託(ETF)などのマクロ商品に対するヘッジファンドの空売りエクスポージャーは総グロスエクスポージャーの12%に達し、パンデミック以降で最高水準となっていた。

空売りポジションの解消は投資家の買い戻しを通じて株価を押し上げることが多い。

フラッド氏は「凍結段階はすでに終わり、現在はショートスクイーズ(踏み上げ)の段階にある」と指摘した。

同氏は3月のインタビューで、「紛争終結の宣言が報じられれば、指数レベルで急激な上昇となるだろう」とし、「一気に2%から3%上昇する可能性があり、その大半はマクロ商品の買い戻しによるものだ」と述べていた。

ゴールドマンのトレーディングデスク部門は、ヘッジファンドが利益確定を進める中で、エネルギーや防衛関連など戦争の恩恵を受けていた銘柄は短期的に調整する可能性があると予想。一方、空売りが積み上がっている一般消費財株、特に住宅関連銘柄では、より持続的なショートカバーが進む可能性が高いという。

フラッド氏はまた「決算シーズン入りに向けて市場は今後数日で攻勢の段階」に入るとの見方も示した。ロングオンリー投資家がメモリーチップメーカーや半導体株といった戦争前の勝ち組銘柄に資金を振り向けることも予想している。

「資産運用会社や政府系ファンド(SWF)は戦争開始以降、様子見姿勢を続けてきた。これが再び攻勢に向かうきっかけになる可能性が高い」と同氏は語った。

原題:Hedge Funds Closing Stock Short Bets at Fastest Pace Since 2020(抜粋)

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