(ブルームバーグ):イラン戦争の情勢変化に翻弄(ほんろう)されるリスクを警戒する投資家が、記録的なペースで株式を売買していることが、市場の指標で示された。
中東情勢の展開や、トランプ米大統領の予測困難な発信に投資家が神経をとがらせる中、売買高を示す指標は急上昇した。その一つであるステート・ストリートの上場投資信託(ETF)「SPDR S&P 500 ETFトラスト」の1日当たりの売買代金は、「パニック指標」とみなされる600億ドル(約9兆6000億円)の水準を今年に入り29回突破した。これは2025年通年の28回を上回る記録だと、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は指摘した。
7日の米市場でもボラティリティーの大きさが際立った。トランプ氏がイランに対しホルムズ海峡の再開を迫る圧力を強めたことで、S&P500種株価指数は一時1.2%下落したが、その後下げを取り戻し小幅高で取引を終えた。その後、米国とイランが2週間の停戦で合意したことを受け、中東情勢を巡り混乱してきた市場に一定の安堵(あんど)感がもたらされ、同指数の先物は2.2%上昇した。
ただ、停戦合意は歓迎される材料ではあるものの、紛争がいつまで続くかを見極めるためにあらゆる地政学的なニュースを注視してきた市場において、全面的な警戒解除を宣言するには時期尚早との見方が出ている。
シティグループで米株トレーディング戦略責任者を務めるスチュアート・カイザー氏は、「イランの民間インフラへの攻撃の先送りや(少なくとも)2週間の軍事行動停止は、合意が維持されればリスク資産にとって短期的に大きなプラスだ」と指摘。「しかし、双方の発言が相手の行動に左右されるため、詳細や持続性を巡る不確実性は大きい」とも述べた。
激しい相場変動は一部投資家に打撃を与えているようだ。強気で知られる個人投資家の買いは勢いが鈍りつつあり、ヘッジファンドは過去10年以上で最も速いペースで世界株から資金を引き揚げている。押し目買いの動きも後退している。BIがレバレッジ型ロングETFの資金フローを分析したところ、3月の株価下落局面では、投資家は以前ほど積極的な買いに踏み切らなくなっていた。
プサロファギス氏は「悪材料が出るたびに、市場は以前よりはるかに大きく動揺するようになっている。『ここで利益を確定して逃げよう』という動きが強まっているためだ」と述べた。
原題:‘Freak Out’ Indicator Soars to Record as War Spurs Trader Angst(抜粋)
(市場関係者やBIのコメントを追加して更新します)
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