(ブルームバーグ):トランプ米大統領は6日、イランにホルムズ海峡の再開を求めた期限が7日に迫る中で、応じなければ民間インフラへの追加攻撃に踏み切ると警告した。一方で、イランは停戦提案を拒否している。
トランプ氏はホワイトハウスで記者会見を開き、「一晩で国全体を壊滅させることも可能であり、それは明日の夜になるかもしれない」と語った。米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)の交渉期限に言及したものとみられる。
さらに「明日午前0時までにイランの全ての橋を破壊できる」とし、発電所は「燃え上がり、爆発し、二度と使えなくなる」とも発言。「午前0時までに完全な破壊が行われることを意味し、望めば4時間で実行できる」と述べ、「それは望んでいない」とも話した。
またトランプ氏は、停戦に向けたいかなる合意にもホルムズ海峡での航行の自由を含める必要があると主張した。
イランとの協議については「順調に進んでいる」とする一方で、ホルムズ海峡の再開を「極めて重要な優先事項の一つ」と位置付けた。同氏は最近まで、同海峡再開を紛争終結のための中核条件には含めていないとしていた。
この日、トランプ氏は「私にとって受け入れ可能な合意が必要であり、その一部として石油を含むあらゆる輸送の自由を求める」と語った。
民間インフラへの攻撃はジュネーブ条約で禁じられているが、トランプ氏は戦争犯罪に当たる可能性について「全く」懸念していないと述べた。「何が戦争犯罪か分かるか。核兵器を持つこと、狂った指導部を持つ病んだ国に核兵器を持たせること、それが戦争犯罪だ」と語った。

トランプ氏が自ら設定した期限は、2カ月目に入った戦争の新たな重要局面となる。この戦争では数千人が死亡し、世界の原油市場に過去最大の混乱をもたらしている。米国内ではガソリン小売価格が平均で1ガロン当たり4ドルを突破。紛争は国民の支持を失いつつあり、大統領は出口戦略の模索に苦慮している。
イランは、トランプ氏が警告する民間施設への攻撃に対し、ペルシャ湾岸地域のエネルギーインフラへの攻撃を強化して対抗すると警告。こうした動きは世界的な燃料逼迫(ひっぱく)を一段と深刻化させ、世界経済への打撃を拡大させる恐れがある。
ホルムズ海峡を巡るトランプ氏の最新の発言は、同海峡が閉鎖されたままでも戦争終結を受け入れるかどうかに関するこれまでの政権内の説明と食い違っているように見受けられる。
ホワイトハウスのレビット大統領報道官は先週、ホルムズ海峡の通航が依然として滞る場合でもトランプ氏が勝利宣言を行うかどうかの質問に対し、同海峡の再開を米軍の中核目標には挙げなかった。
トランプ氏がさらなる攻撃を示唆したことを受け、原油価格は上昇した。ホルムズ海峡を通る輸送が長期にわたって制限されるとの懸念が再燃した形だ。株式市場は、6日に停戦への期待で上昇した後、戦争を巡る不確実性を背景に投資家が様子見姿勢を強め、方向感に欠ける展開となった。
シンガポールのバラクリシュナン外相は、この戦争による経済的影響がさらに悪化する可能性があると警告。ブルームバーグテレビジョンに対し、「市場は最悪のシナリオを完全には織り込んでいないと確信している」と述べた。
トランプ氏は記者会見で、強硬な警告と停戦協議に対する前向きな評価を交錯させた。これに先立ちイラン側は停戦案を拒否し、代わりに戦争の恒久的な終結を求めていた。
トランプ氏は、バンス副大統領が協議に関与していると述べ、ウィトコフ特使にも言及した。ウィトコフ氏は、米国とイスラエルが2月末に戦争を開始する前、イランとの合意を模索していた。
トランプ氏は「相手側には積極的で意思のある交渉相手がいると言える」とし、「彼らは誠実に交渉しているとみているが、それは今後明らかになる」と語った。
一方で、期限を再び延長する可能性については「極めて低い」と話した。
イランは6日これに先立ち、紛争終結に向けた仲介を担うパキスタン経由で伝えられた停戦条件の受け入れを拒否した。
国営イラン通信(IRNA)によると、同国指導部は停戦ではなく、戦争の恒久的な終結に加え、復興の取り組みや制裁解除、ホルムズ海峡の安全な通航を確保するための枠組みを求めている。
イランは、戦争による損害への補償が行われた場合にのみ、ホルムズ海峡の航行再開を認めるとしている。同国はまた、ペルシャ湾岸諸国のエネルギー施設への攻撃を継続している。
米ニュースサイトのアクシオスは、パキスタンやエジプト、トルコが、イランのエネルギーインフラに対する米国の攻撃や、イランによる地域諸国への報復を回避するため、約45日間の停戦実現に向けて動いていると報じた。
トランプ氏は5日のSNS投稿で、イランの発電所を破壊し「全て」を撃破すると警告後、新たな期限を示した。この動きは、ホルムズ海峡の再開を迫るため、3月21日以降に繰り返してきた最後通告の延長の一環となる。
トランプ氏は当初、イラン領空で撃墜された戦闘機の乗員2人を救出した米軍作戦の成功をアピールするため記者会見を開いた。トランプ氏によると、この作戦には175機超の航空機と数百人の軍要員が関与した。
しかし、米軍戦闘機撃墜とトランプ氏の強硬発言は、同氏と側近が打ち出してきた無敵のイメージに影を落としている。
米軍機に対する脅威を巡っては、トランプ氏と他の当局者の発言に食い違いがみられた。ヘグセス国防長官は、米軍がイラン上空の制空権を握っていると指摘。一方でトランプ氏とケイン統合参謀本部議長は、救出作戦に関与した米軍機が敵の攻撃を受けたと説明した。トランプ氏はその後、2人のパイロットの戦闘機は携帯型ミサイルで撃墜されたと明らかにした。
トランプ氏はまた、イランの石油を米国のために確保したい考えを示しつつも、米国民がまず紛争の終結を望んでいることに言及した。
原題:Trump Insists on Hormuz Opening as He Escalates Iran Threats (1)、Trump Amps Threat to ‘Take Out’ Iran Before Tuesday Deadline(抜粋)
(12段落以降に市場の動きなどを加えて更新します)
--取材協力:Meghashyam Mali、Devika Krishna Kumar.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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