(ブルームバーグ):商船三井の田村城太郎社長は9日、ホルムズ海峡の通航再開を決定するには「完全な安全の担保」が必要との考えを示した。イラン停戦を巡り先行き不透明感が漂う中、通航再開に当たっては安全性を慎重に見極めていく方針だ。

田村社長は都内でのインタビューで、通航再開の判断の軸となるのは「完全な安全の担保ということになるので、それをどのように確認していくかに尽きる」と語った。どういった条件でその安全基準が満たされるかについては「定義は難しい」とし、状況に応じてその都度判断していく考えだという。
米国とイランの停戦合意により、エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の通航再開に道が開かれたが、これまでにペルシャ湾から出た船はごく少数にとどまっている。原油と液化天然ガス(LNG)の約2割が通る同海峡の通航が正常化するまでには時間がかかる可能性もある。
今回のイラン戦争はおそらく中長期的にも海運業界にとどまらず幅広い業界に大きな影響があると田村社長は見込む。イラン戦争の終結後には、「ニューノーマルが出現する」と同氏は言う。
具体的には、今回の事態を受け、「各産業、各企業のレベルのみならず、国家戦略的に在庫や備蓄を見直そうというレベルのインパクトがあり得る」という。また調達先の分散の一環として遠方であっても調達する動きが広がることで輸送に必要となる船の数が増加し、海運業界にはポジティブに働く可能性があると述べた。

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これまでに商船三井関係の船舶は3隻がホルムズ海峡を通過しているが、一部は依然ペルシャ湾内に取り残されている。2週間の停戦期間中のホルムズ海峡通航に関しては「日本政府からのガイダンス」を待っているとし、現時点では対応方針について確たることは言えないと田村社長は語った。
また、ホルムズ海峡を巡る状況の変化により、短期的には輸送力や物資の不足などの影響が世界的に出ており、既に輸送料が上昇している分野もあるとした。今の状況が長引くようだと長期的には、貨物量は激しく変動して海運業界にも影響が及ぶとの見方を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、リー・A・クラスコウ氏らはリポートで米国とイランの停戦は「ペルシャ湾や紅海における海運状況を短期的に改善する可能性は低い」との見方を示した。停戦はホルムズ海峡通航を後押しする、より持続的な緊張緩和への期待をもたらす一方、「現実の情勢を踏まえれば、なお相応の慎重姿勢が求められる」とした。
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