受給格差の制度的背景

こうした受給格差の背景には、制度設計の違いがある。中国の公的年金制度は、対象者によって異なる仕組みが採用されており、これが給付水準の差につながっている。

まず、公務員や都市の会社員が加入する年金制度(都市職工年金)は、基本年金(社会プール部分/賦課方式)と、保険料の一部を積み立てる個人勘定(積立方式)から構成され、いわゆる二階建ての構造となっている。

これに対し、公務員の場合は、基本年金と個人勘定に加えて職域年金が設けられており、三階建ての構造となっている。

この職域年金は雇用主である政府・公的機関と加入者(公務員)が拠出する積立型の制度であるため、退職後の所得保障は都市の会社員よりも手厚いものとなっている。

一方、都市・農村住民が加入する都市・農村住民年金は、都市の非就労者や農村住民などを対象とした制度であり、都市職工年金とは異なる仕組みが採用されている。

この制度は積立方式を採用しており、国庫および地方政府の負担による基礎年金に加えて、加入者が納付した保険料を積み立てた個人勘定から給付が行われる。

ただし、この制度では保険料は所得比例ではなく、あらかじめ設定された複数の保険料の中から加入者が任意に選択して納付する方式となっている。

そのため、負担能力の低い農村住民などを中心に最低水準の保険料を選択する者が多く、個人勘定の積立額は小さくなりやすい。

結果として、実際の給付額の大部分は基礎年金が占めることとなり、受給額は低い水準にとどまっている。加えて、都市・農村住民年金は比較的新しい制度であり、制度発足からの期間が短いことも給付水準が低い要因の一つとなっている。

中国社会に長く存在してきた年金制度に関する都市と農村の二元構造、制度設計、制度創設の時期、保険料負担能力など多くの要因が重なり、制度間の受給格差が生じている。