加入者10.7億人、加入率95%以上、世界最大規模の公的年金制度

中国では近年、急速な高齢化の進展を背景に、老後の所得を支える公的年金制度の重要性が一段と高まっている。

政府は1990年代以降制度整備を進め、都市の会社員を対象とする都市職工年金の改正や、都市の非就労者・農村住民を対象とする都市・農村住民年金の導入を通じて、全国的な普及を図ってきた。

その結果、中国の公的年金制度は広い範囲の国民をカバーする仕組みが整いつつある。

2025年9月、中国の社会保障制度を管轄する人力資源社会保障部は、第14次5ヵ年計画期間(2021-2025)中の成果を総括する発表を行った。そこでは、「第14次5カ年計画期間は、社会保障分野における改革が最も進んだ時期である」と評価した。

また、「現在、全国の公的年金制度の加入者数は10億7,200万人に達し、第13次5カ年計画期間より7,300万人以上が増加、加入率は91%から95%に上昇した」とし、加入規模と普及状況に胸を張った。

その一方で、中国の公的年金制度には依然として大きな課題が残されている。その1つが、加入する制度によって、受給に大きな差が生じている点である。

中国では、公務員(公的機関の職員を含む)、都市で働く会社員(個人事業主などを含む)、都市・農村住民(都市居住の非就労者、農村住民)といった職業や就業状況によって適用される制度が異なり、それに伴って給付水準にも大きな格差が発生している。

なお、公務員の年金制度は、2015年に都市の会社員の年金制度と統合されている。ただし、激変緩和措置として職域年金などの優遇措置が設けられるなどの違いがある。

こうした制度間の受給格差は老後所得の格差につながるだけでなく、制度の公平性に対する国民の不満を生んでおり、年金制度に対する信頼を損なう要因ともなっている。

このことは、今後の年金制度改革を進めるうえでの制約となる可能性もある。