(ブルームバーグ):中谷元・前防衛相は、19日の日米首脳会談はイラン情勢の鎮静化を図る好機との見方を示した。原油価格高騰などに伴う経済活動の混乱収束に向け道筋を付けられるかが重要とみる。17日のブルームバーグのインタビューで語った。
中谷氏は、「日米首脳会談は世界中が注目」しており、「イラン情勢について米国と直接話ができるというのは日本にとってチャンス」との認識を示した。イランとも友好関係にある日本が双方に事態の鎮静化を求めるべきであり、会談を機に状況が好転すれば非常に良いことだと語った。経済活動の正常化へ努力が必要とも話した。
トランプ米大統領は、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全確保を巡り、日本を含む複数の国に艦船派遣を呼び掛けていた。ただ、イラン戦争への協力に多くの国が事実上拒否する中、17日にはSNSに「支援不要」と投稿。高市首相は同盟国への不信感をあらわにするトランプ氏と各国首脳に先駆けて直接向き合うことになる。
中東情勢は緊迫した状況が続き、原油高に端を発した世界的な株価下落や為替変動で、経済的な影響が長期に及ぶ可能性が意識されている。首脳会談では中東情勢が中心的な議題になるとみられ、高市早苗首相はイランとの良好な関係を損なわずに米国との強固な同盟関係を確認するという難しい対応を迫られる。
イラン南岸に位置するホルムズ海峡は事実上の封鎖状態にある。2024年には世界全体の消費量の約20%に相当する原油が通過した。原油輸入の約9割を中東に依存する日本の場合、23年輸入量の約74%がホルムズ海峡経由だったとされ、封鎖が長期化すれば経済への影響は免れない。
中谷氏は、自衛隊が既に中東地域で「情報収集」を目的に活動していることに触れつつ、「今の法律の範囲内で航路の安全確保に精いっぱい努力するということだ」と述べた。現状は、ペルシャ湾やホルムズ海峡は対象外で、オマーン湾、アラビア海北部、バブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の3海域の公海を活動海域としている。
高市首相は17日の参院予算委員会で、自衛隊の中東派遣の可能性について問われ、「法的に可能な範囲で何ができるかということを精力的に政府内で検討している」と述べた。自衛隊法で規定する海上警備行動に基づく艦船派遣は「法的には難しい」との立場だ。
日米首脳会談では、イラン攻撃について日本の評価を米側から迫られることも想定される。中谷氏は「日本としてはその評価を控えている」とし、評価の在り方については踏み込まなかった。
日本に配備されている強襲揚陸艦や2500人の海兵隊員を中東に派遣すると報じられていることについては、それに伴って日本周辺や極東に安全保障上の「空白」が生じる可能性があると指摘。「不測の事態を招かないよう、日本としての抑止力と対処力を維持・強化する必要がある」と話した。
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