イランが17日、ホルムズ海峡は全ての商船に開放されていると表明したことに対し、タンカー船主や原油トレーダーは慎重な反応を示した。事実であれば、ペルシャ湾内に滞留している数百万バレル規模の原油や燃料の輸送再開が可能になる。

イランのアラグチ外相は「あらゆる商船のホルムズ海峡通航を完全に開放すると宣言する」とX(旧ツイッター)に投稿。イラン当局が「すでに発表した調整済みの航路」を通航できると説明した。

トランプ米大統領はその直後、ホルムズ海峡は「完全に開放され、全面的な通航の準備が整っている」と自身のソーシャルメディアに投稿。ただし、米国によるイラン船舶への封鎖は維持されるとした。

こうした発信を受けて、原油や天然ガス価格は急落し、株式相場は上昇した。

ブルームバーグは船主や代理店、ブローカー、トレーダーなど十数人に取材した。多くは非公開の内容だとして匿名を条件に応じた。大半は、イランの発表には詳細が欠けているとし、実際の運用がどうなるのか見極める必要があると指摘。地域の一部大手生産者の考えに詳しい関係者も慎重な見方を示した。

ドバイで多くの船主と取引するシャラフ・シッピング・エージェンシーのディレクター、ファルハド・パテル氏は、「市場は全面的な確信には至らず、慎重な楽観にとどまるだろう」と指摘。「今回の動きは船舶往来の一部回復やエネルギー輸送の当面の圧力緩和につながる見通しだが、運航環境は引き続き厳格に管理されており、非常にデリケートな状況が続いている」と述べた。

同地域では航路制限や検査、並行した取り締まり措置が行われており、現時点で通常の取引環境への回帰には至っていないとパテル氏は語った。

ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、今回の発表後数時間に、ホルムズ海峡の通過に向けて船舶が殺到している様子は確認されていない。

今のところ、航路が本当に安全で完全に開放されているのか先陣を切って確かめたいという者はいないと船主らは話した。「氷の上から最初に海に飛び込み、水温を確かめるペンギンになりたいだろうか」と1人は問いかけた。

ペルシャ湾内で足止めされている原油および石油製品は少なくとも1億3500万バレルに上ることが、船舶追跡データで示されている。これには、船舶が不足して満杯状態となる前の、2月末から3月前半に積み込まれた貨物も含まれる。

たとえ海峡が完全に開放されたとしても、湾岸を出発した船舶が目的地に到着するまでには数週間を要し、同地域の石油・ガス生産が正常な水準に戻るまでには数か月から数年かかる見通しだ。

動画:ホルムズ海峡開放に関するブルームバーグテレビジョンの報道

ホルムズ海峡を通じた貨物輸送に関与する複数の関係者は、イランがオマーンに近い従来の航路に機雷を設置したとみられていると指摘し、航行の完全な自由が確保されているわけではないとの見方を示した。トランプ氏はこの日、ソーシャルメディアへの投稿で、これらは撤去されつつあると述べた。

世界最大の国際海運団体であるボルチック国際海運協議会(BIMCO)の安全・セキュリティー責任者ヤコブ・ラーセン氏は、ホルムズ海峡が全面的に開放されているとするトランプ氏の発表は「不正確だ」と指摘した。

ラーセン氏は、機雷の脅威の状況は不明確だとし、「海運会社は同海域を回避することを検討するべきだ」と付け加えた。

原題:Shipowners and Oil Traders Wary as Iran Says Hormuz Fully Open(抜粋)

(最終4段落とトランプ氏の動画を追加します)

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