(ブルームバーグ):原油先物が18日の取引で再び上昇。イランは国内エネルギー施設の一部に攻撃があったとし、それに対する報復攻撃を行う意向を表明した。ペルシャ湾地域全体のエネルギー供給は大半が戦争により依然停止されている。
この展開を受け、北海ブレント先物は上げを拡大。上昇率は一時5%を超え、1バレル=109ドル台後半を付けた。前日も3%余り上昇していた。
イランはこの日、ペルシャ湾周辺諸国に対し、複数のエネルギー施設が今や「正当な攻撃対象」になったと警告した。同国の巨大ガス田である南パルス天然ガス田が、イスラエルの攻撃を受けたことへの報復措置としている。同ガス田はペルシャ湾に位置し、イランとカタールが共同で保有している。
カタール外務省の報道官はX(旧ツイッター)への投稿で、同ガス田への攻撃は「危険で無責任な行為だ」と非難した。
イラン準国営のタスニム通信によれば、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)にある施設が、ミサイル攻撃の対象となり得る。これとは別にファルス通信は、イランのエネルギーインフラへの攻撃は「決して報復なしには終わらない」と伝えた。
湾岸諸国はイランが事実上の封鎖を続ける海上輸送の要衝、ホルムズ海峡を迂回する経路の確保を急いでいる。イラクは国内北部のクルド人自治区との合意を踏まえ、同自治区を通過してトルコの地中海沿岸ジェイハン港に至るパイプラインを通じた原油輸出を再開する。
ただ、これによる供給懸念の緩和は限定的とみられる。このルートで輸出できるイラク産原油は生産量のごく一部に過ぎず、同国の産油量は1日あたり約140万バレルと、戦争開始前の約3分の1に落ち込んでいる。
イラン、自国産原油の輸出は戦争前とほぼ同水準
一方、イランはホルムズ海峡を通じた自国産原油の輸送は戦争前とほぼ同じペースを維持し、地域の他国の輸送が滞る中で海峡の支配を最大限活用している。
海上輸送情報を分析するケプラーのデータによると、3月1日以降にペルシャ湾から出荷された2720万バレルのうち、4分の3近くがイラン産原油だった。これは日量約120万バレルに相当し、戦争前にイランが出荷していた同150万バレルと比べて微減にとどまる。
これに対し、同地域の他の産油国からの出荷は日量わずか40万バレルと、平時の平均である同1400万バレルを大きく下回る。

外交政策研究所(FPRI)のアーロン・スタイン氏は「ラリジャニ氏の殺害は重大で、イランが石油の流れを妨害しようとする動きを一段と強める恐れがある。トランプ氏にはタンカー護衛を求める圧力がかかっており、米海軍が避けたい非常に緊張した作戦が行われることもあり得る」と述べた。
ブレント原油は今年に入って約70%上昇。その大半は先月末の米国とイスラエルによる対イラン攻撃後に生じた。イランがエネルギー施設を攻撃し、タンカーの航行を妨げる中、戦争はエネルギー価格を押し上げ、インフレ加速への懸念を招いている。
米国のディーゼル価格は1ガロン(約3.8リットル)=5ドルを突破した。2022年12月以来となる。対イラン戦争で供給が混乱する中、燃料価格の上昇が世界経済に圧力をかけていることが改めて示された。
米自動車協会(AAA)によると、全米平均の小売価格は16日、5.044ドルに達した。戦争開始後から約3割値上がりした。

原油価格の値幅は一時期に比べ小さくはなったが、米国のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物とブレントの価格差はなお大きく揺れ動き、18日は一時9ドル余りと、2022年7月以来の大きさに達した。
ウエストパック銀行の商品調査責任者、ロバート・レニー氏は「対立の終結は見通せず、生産停止が日々増加し、ホルムズ海峡が事実上封鎖されている状況を踏まえると、ブレント原油は95-110ドルのレンジで推移するとの見方をわれわれは維持している。大規模製油所への攻撃や海峡での機雷敷設の追加が確認されれば、このレンジはさらに10-20ドル上方に拡大する可能性もある」と語った。
原題:Oil Turns Higher as Iran Says Its Energy Facilities Were Hit、Iran Takes ‘Several’ Parts of South Pars Gas Field Offline: Fars、Iran Moves Its Own Oil Through Hormuz as It Chokes Other Traffic、Iran to Retaliate Against Attacks on Energy Infrastructure: Fars、Iran Says Some Gulf Energy Sites Are Now Targets: Tasnim (1)、Qatar Says Israel Striking Iran’s Gas Field ‘Irresponsible Step’(抜粋)
--取材協力:Charles Gorrivan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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