実在しない給水器や偽造請求書といった企業の不祥事をきっかけに、損失を被った金融機関などが資金回収に動く中、米投資銀行ジェフリーズ・フィナンシャル・グループの強硬な投資手法が浮き彫りになっている。

自動車部品会社ファースト・ブランズ・グループと水自販機を手掛けるウォーター・ステーションに対する投資が、両社で不正疑惑が浮上する中で頓挫し、ジェフリーズは相次ぐ訴訟に直面している。同行に関連するファンドは、経営破綻したレストランチェーン運営会社ファット・ブランズとも法廷闘争中だ。

さらに、ジェフリーズは英国の破綻した住宅ローン会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の支援企業としても浮上している。

Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg

過去2年弱にわたり相次いだこうした企業破綻を受けて、リスクの高いレバレッジド債務の引き受けで名を築いてきたジェフリーズの内部監督体制に疑問が生じている。直近では6日、地銀ウェスタン・アライアンス・バンコープが、ファースト・ブランズ向け融資を巡り詐欺および契約違反があったとして、融資に関与したジェフリーズおよび同社傘下のルーカディア・アセット・マネジメントを提訴した。少なくとも1億2600万ドル(約200億円)の損害賠償を求めている。

また、運用資産550億ドル規模のインディアナ州の年金基金も、別の投資案件で詐欺被害を受けたと主張し、ジェフリーズとルーカディアの両社を提訴している。

ジェフリーズはこれらの疑惑を強く否定しており、訴訟はいずれも初期段階にある。

ファースト・ブランズを巡る3000万ドルの税引き前損失にとどまらず、相次ぐ訴訟はジェフリーズにとって大きな財務リスクとなる可能性がある。ただ、それ以上に深刻となりかねないのが評判への打撃だ。レバレッジドファイナンスや資産運用分野での事業拡大戦略に影響を及ぼす恐れがある。

ウェスタン・アライアンスのケン・ベッキオーネ最高経営責任者(CEO)は6日、この懸念について率直に言及した。

「私の銀行員としてのキャリアを通じて、取引相手の評判や業務の健全性をこれほど意図的に危険にさらす契約違反を目にしたことはない。将来の銀行や顧客、取引相手は、同社のコミットメントの信頼性を真剣に再評価することを強いられる」と同氏は電話会議で述べた。

ジェフリーズは、ファースト・ブランズで発覚した不正について自社も被害者だとの立場を崩しておらず、他の金融機関も巻き込まれたと主張している。ウォーター・ステーションの不正疑惑については、独断で行動した一部の管理職に責任があるとしている。

信用不安の広がりで神経質な相場展開となる中、ジェフリーズの株価は年初から40%近く下落。同行には三井住友フィナンシャルグループが出資している。モルガン・スタンレーは9日、ファースト・ブランズおよびMFSに関連する信用リスクへの懸念を理由に、ジェフリーズの投資判断を引き下げた。

ペンシルベニア州立大学スミール・カレッジ・オブ・ビジネスの会計学教授、エド・ケッツ氏は、「1件だけなら見過ごされるかもしれないが、複数となれば、投資判断の前提となる財務分析が十分だったのか疑問が生じる」と指摘。「評判は傷つく可能性が高い」と述べた。

ラトガース大学コーポレート法・ガバナンスセンターの法学教授、アーサー・ラビー氏は「投資顧問が詐欺で訴えられるのは決して良いことではない」と指摘。「そのような事態が起きれば、常に評判上の懸念が生じるが、すべての訴訟に根拠があるわけでもない。訴訟リスクは事業を行う上でのコストの一部だ」と話した。

オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトウスキ、ジョン・コフィー両氏はファースト・ブランズやMFSなどの不正に関連したジェフリーズの損失について、「重要なのは、それらのリスクが同社の資本や収益力に照らして比較的小さく、管理可能な水準にとどまっていることだ」と分析した。

ジェフリーズの広報担当者はブルームバーグのコメント取材に対し、これら訴訟に関するこれまでの同社声明を参照するよう回答した。

原題:Jefferies’ Bad Loans Draw Scrutiny After Lawsuits Alleging Fraud(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.